感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiro
1
やっぱりモームは面白い。本書は短編を5つ収めたものだが前半の3つが特に面白い。表題作「大佐の奥方」は、私は実は何もなかったと思うのだがそれではやはり深みがないし、でももし本当のことなら人間って何てすごいんだと思う。あとの2つも人間の哀れさしたたかさを描いて見事。読書の醍醐味を満喫できる。2021/12/15
nightowl
0
激賞された妻の詩作に疑問を覚える身勝手な夫「大佐の奥方」、マラリアから回復した男。介抱された家の妻が語る身の上話「根なし草」、独身女性が妄想する謎の隣人夫婦の正体「幸福な夫婦」、スペインにおける夫のプライドとは「体面」、刑務所帰りの女性の唯一の喜びが…「母親」の五作。アンナ・カヴァン『あなたは誰?』がモームっぽいと思ったら、やっぱりその手の作品を書いていたことを知った「根なし草」とまさしく情熱のままに生きるスペイン人を垣間見る「母親」が双璧。特に後者は最後に冷水を浴びせられたような気分になった。2015/04/11