出版社内容情報
洛陽の三老、大義名分の必要を説く。
「大王は大義名分もなしに軍事行動を起こそうとなされておられます。私利のための戦なら、たとえ項羽に勝ったとて、天下は帰服いたしますまい」
劉邦の陣に張良が戻ってきた。劉邦は張良との再会を心から喜ぶ。
張良は、偽の撒文を作って項羽を斉に攻め込ませるよう仕向ける。
范増はこれを張良の謀と見抜きながらも、早く斉を討つことをすすめ、項羽は隣国斉へ兵を向けた。張良はみずから魏豹の説得に赴き、西魏は漢についた。
張良はつづいて河南王の申陽を説得しに洛陽へ向かう。
陸賈は申陽に知恵をつけて張良を捕らえさせるが、樊噲に奪い返され、申陽は逆に捕らえられた。
目次:
張良との再会/項羽北上/魏豹を説得/陸賈の裏切り/申陽降る/人質奪回/追手猛追/援軍到着/明暗/殷への侵攻/漢軍退去/河内平定/陳平 漢に走る/素行と才能/東征決意/魏豹大元帥/彭城落城
付録
項羽と劉邦関連地図
項羽と劉邦ビジュアル 劉邦の故里・沛県を訪ねて 文/後閑英雄 写真/浦充伸
悲劇の名将、韓信の栄光と悲惨 村山孚(まこと)(中国文学者)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
31
あ~あ。韓信も張良もまだやめておいた方が良いって忠告して引き止めているのに、漢王も劉邦も調子に乗って、遂に楚を攻撃することなってしまいそうな嫌な予感です。どうしてこうも得意満面になれちゃうのでしょうか?心配で見ていられません。2010/11/21
べる
17
張良は時代状況に精通し、その分析に各国の王が深い信頼を寄せていて論客を越えた論客として広く知られていた。張良の弁に軽々しく乗ってはいけないと思っていても、説き伏せられてしまう。ある時は捕らえられてしまうが、項羽のもとまで送り届けられる道中に漢軍を待機させていて助けられる。張良も相手の心理を読んで、先の先のことまで用意できる人だ。劉邦は才能がある人が力を発揮すれば国が栄えると言って人を迎え入れるところは良いが、次々と兵が増えて有頂天になってしまった。今までと変わって周りの人の話に耳を傾けずに独断に出る。2021/11/13
T K
13
物事が順調な時ほど慎重に…劉邦の強みである人の意見を素直に聞く力が年齢を重ねるにつれて落ちてきたような気がする…慢心注意警報2014/06/11
とんかつラバー
10
飛び交う檄!最近は檄を飛ばすを「気合い入れろ!オラー!」みたいな怒号と勘違いされてるけど、モノホンの檄っすよ!!相変わらず項羽はブラック経営者の鑑みたいにその時の気分次第で人を罵りまくって解雇。陳平も首にされて漢に降ってしまう。道中、山賊に身ぐるみ剥がされちゃうけど、なぜ股間より胸を隠す!?2021/10/23
文句有蔵
5
うん?なんだ、この突然の劉邦の変貌は?これについての説明・注釈がないのが不満である。しかし、これまで「君君足らず」と我も我もと翻意してきた敵軍にあって、韓信・張良が劉邦の元を去ったのは痛快。またこの二人が、敵に降伏を進言する時の言葉のまま、「君足らず」と判じた時には見限るのを是としたことに、有言実行を見る。であるならば、これはこれで「義」ということなのだろう。今後の展開が興味深い。2014/08/20