感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そら
34
面白い。シッダルタが、探究心が強すぎて、王位継承者としては無責任な行動を繰り返すところが、清々しくて突き抜けてるな~、と思った。大物はこうでなくてはね!そして、身分制度に反対する根拠として、人間の平等性だけでなく、自然界の生き物全てにおいての平等性を説いているのがいいなと思った。地球が丸いことも、宇宙のことも分かってない時代に、彼は、人間も動物も植物もみんな同じで、自然界の調和の中の小さな一部分であることを幼少期から感覚で分かっている。本来、みんなそうなのかも?続きが楽しみだ。2021/09/19
紅香@新刊購入まで積読消化あと4冊⭐︎
29
永遠の時と空間にとって、人の一生などほんのひとかけらの氷の粒にすぎない。。母と仲間を一度に奪ったコーサラ国に復讐を誓ったタッタ。シッダルタを現実の世界に連れ出す。。身分が高いからといって死なないことはない。病も災難も身分を選んで苦しめるだろうか。人間が作り上げたもので人間は苦しんでいる。欲望に呑み込まれている間にも、それらの前では誰もが平等だ。シッダルタ、目覚める。物語はだんだん加速してゆく。一旦、何もかも捨てて、城外へ。2018/03/15
gtn
26
「人間はなぜ生きてるのか?苦しむためなのだ」と叫ぶ僧。断じて違う。苦しみは、人である限り付きまとう。それを歓喜に変え、人生を楽しむために生きている。当然、シッダルタ、後のブッダの受け売りだが。2023/06/28
シルク
18
再チャレンジ・2巻。憂いの王子、シッダルタの巻。いやー。。。そやった、そやった。手塚治虫の描くシッダルタは、すんげぇへなちょこというか(笑)、まるきりカッコ良くない王子さまだったんだった(笑) 思い出したよ。。。そんで、1巻から出ずっぱりの、嫌われ者の勇士バンダカさん。わたくしもこいつはひたすら嫌いなわけだが、バンさん、惚れた女であるヤショーダラーに対する、最後の態度は立派だった。「負けたよ シッダルタ……いいきさきをもったのにバカなやつだ!」(p.388) このことば故になんだか忘れがたい人、バンダカ。2023/10/06
不識庵
8
虫を殺すとき、虫の生存権などというものを考えるか、否、考えるわけがない。少なくともわたしは。最近もスズメバチの巣を強力な殺虫剤で駆除したばかりである。階級制度があったころなら、正義の範疇に入らない階層もあって当然だろう。いわば虫けらのように殺される。釈尊はそんな地平に生まれ出た。階級制度を嘆くシッダルタは出家していく。仏教は明確に身分制を否定するが、それは宇宙の曼荼羅図から見れば塵に等しい営みだからか。まだこの巻ではそこまで至っていない。悩むシッダルタである。ダイバダッタも登場する。2021/10/22