出版社内容情報
二歳下の弟とともにナチスのユダヤ人迫害にあい、過酷な日々をすごしながらも兵隊ごっこや空想の世界に遊んで”子どもの世界”を保ちつづけた自らの子供時代を端々しく描く。
中学生 小学生高学年から
内容説明
裕福なユダヤ人医師の家に生まれたウーリー・オルレブと弟は、第二次世界大戦勃発後、まずゲットーに隔離され、母親が殺されたあとポーランド人区に逃れてかくまってもらい、それから二十二か月をベルゲン・ベルゼン強制収容所で過ごした。どんなときにも空想と冒険の心を持ちつづけ、ホロコーストの時代を生きた兄弟の物語。国際アンデルセン賞受賞作家の自伝的名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
54
中高生対象の一冊。大人が読んでも筆者の思いが背後に蠢き、痛くて何度も中断する読書だった。奇跡的に残された写真が多く、生きた軌跡(この世で一番の苛酷な時を過ごした!)が違う温度で伝わってくる。というのも、この本が子供の視点で語られ、心象を連ねられているから。それだけに、生還した筆者が「膨大な数の子供たちが、自分と同じように、心の灯を掲げつつ、明日どうなるかも知らされないまま消えて行った」過酷な事実を忘れ得ぬ事として伝えたいのだと感じる。筆者にとり ホロコーストは何回語ろうとも厳然たる「子供時代」だった2020/01/11
シュシュ
29
強制収容所で生きのびた11歳と9歳の兄弟。戦争ごっこをしながら過ごした彼ら。生きのびたのは幸運であったが、子どもならではの想像力が生きる助けになったのではないだろうか。あとがきに「あなたにとって、『ホロコースト』はホロコーストに過ぎないでしょうが、わたしにとって、それは、子ども時代でした」という著書の言葉があった。2017/10/07
ムーミン
26
私たちは一つの事実や一つの側面からの考えだけでなく、もっと知らなくてはならない、もっとたくさんの声を聞いて自分で判断していかなければならないと思いました。2022/03/05
tellme0112
11
子ども視点が新鮮だった。辛いことが多かったろうに、冒険として表現する。弟がいたからこそ、生き延びられたのだろうなあ。通勤電車の中で読了。泣けてきた。前半の子ども時代と変わって、解放後の人生がビターな大人の味。子どもとしては思い出せる。大人視点で思い出そうとすると闇に落ちて二度と戻れなくなるような感覚になる、と。創作活動で過去を克服なんて、できるもんじゃないと感じた。2017/04/20
☆りはこ☆
10
今までよんだホロコーストのものは、その悲惨さだったり、残酷さを書いたものだったが、今回は違った。どんな状況であれ、お金があれば助かるのではないかと思い、むなしくなった。2016/06/28