内容説明
1942年春、日本中はマレー作戦の成功に酔い、シンガポール陥落に沸き立った。知識人も筆をそろえて戦争讃歌の大合唱をくりひろげていた同じ頃、日本軍占領下のシンガポールでは華人たちが大ぜい殺戮されていた。戦時下の言論を追求して、歴史と責任を考える一冊!
目次
1 奇襲攻撃による開戦
2 シンガポール
3 快進撃の「皇軍」
4 シンガポールの陥落迫る
5 戦勝の祝賀行事
6 戦捷第一次祝賀の行事
7 マレー作戦の全貌
8 著名人たちの讃歌
9 陥落直後のシンガポール
10 日本語普及運動
11 華僑工作の実態
12 検証と虐殺
13 五千万元の献金
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
昭和17年(1942)2月、アジアにおけるイギリスの重要拠点シンガポールが陥落した際の、日本人各層の熱狂を伝える様々な文章をまとめている。著者は、この熱狂とその背後で進行したシンガポールの華人虐殺を糾弾する姿勢なのだが、とにかくリアルタイムで文化人や有識者がこぞって感激の一文を寄せているのが圧巻。ある意味、真珠湾攻撃よりもこちらの方の熱狂が大きかったかもしれない。何しろ正真正銘の勝ち戦だから、戦果を捏造する必要も無く、軍も国民も心から祝う事が出来た。それは史上滅多にない機会だったのは充分に伝わる。2022/03/21