千鳥舞う

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784198634322
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

心が死ねばこの世のすべては無明長夜の闇に落ちる。この世を美しいと思うひとがいて、初めてこの世は美しくなる。そう思うひとがいなくなれば、この世はただの土塊となるしかない。死なせてはならない心とは、人を愛おしむ心や、この世を美しいと感じる心。ひとはひとに愛しまれてこそ生きる力が湧くもの。涙と感動を呼ぶラスト。女絵師・春香が描く博多八景にまつわる哀切で感動的な物語。

著者等紹介

葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業。地方紙記者などを経て、2005年「乾山晩愁」で第二九回歴史文学賞受賞。07年『銀漢の賦』で第一四回松本清張賞を受賞。09年『いのちなりけり』、『秋月記』が直木賞候補に。10年『花や散るらん』、11年『恋しぐれ』が直木賞候補。12年1月『蜩ノ記』で第一四六回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

60
主人公女絵師・春香が博多八景を描き上げるまでの物語。道ならぬ恋に落ちた狩野門下・杉岡外記への直向な思いと共に、博多八景創作のために景勝地を巡り歩き、知合った人々に纏わる悲哀が挿話として語られる。底知れず様々な悲しみを秘めた人々、誰もが切なさを胸に秘め、懸命に自らの道を求めて生きている。その悲しみを込めて創作・描写された夫々の博多八景。人を想う気持ちの大切さがしみじみしみてくる葉室麟作品。心地よい読後感。九州で生まれ育った読み手には、文中の博多弁の会話が懐かしく、親近感を憶えた。2017/02/11

藤枝梅安

57
博多に住む女絵師・里緒は人に言えない過去を抱いて、絵を描くことで自分の命と想いを繋いでいる。豪商に依頼され、「博多八景」を描くことになった里緒は、一つ一つの絵のために取材に出かけ、その先で人々の悲哀を目の当たりにする。罪と悲しみを抱いて日々を生きることの重さを心に刻みながら、里緒は数年をかけて博多八景の屏風を完成させる。結末はほぼ予想通りだったが、そこに至る過程の描き方が秀逸。登場人物の生き方と話す内容が絵の世界とリンクし、全体として説得力のある作品に仕上がっている。この作家の芸術への尊敬が伝わってくる。2012/09/01

くりきんとん99

39
ただひたすらに外記を待つ女絵師の春香。そのツラさ、切なさが伝わる作品。春香が出会う人たちにまつわる話も悲しい、切ないモノばかりだったけど、ラストは良い終わり方だったと思う。葉室さんだなといった感じ。2012/08/06

トラキチ

35
初出 「問題小説」「読楽」、加筆改稿あり。 博多を舞台とした女絵師・里緒の悲恋の物語。 この作品は長編小説というより連作短編集の形態をとっています。 10編からなりますが主人公の里緒が手掛ける“博多八景”のタイトルがずらりとならびます。 本作の特徴は女性が主人公のために他の葉室作品よりもしっとりと繊細に描かれている点でしょうか。 江戸と博多、離れ離れになった外記との行く末が物語全体を支配しているのですが、各編ごとにそれぞれの絵を描くにあたり、物悲しい男女や親子関係が描かれています。 2013/01/11

BlueBerry

29
根底に不倫があるものだから晴れ晴れとは楽しめませんでした・・・。2013/08/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/5204064
  • ご注意事項