内容説明
「もはや二度と会えない愛しい者の追憶を探し求めることは、生き残った者にとって残酷である」(「永遠の至福」より)。棟居刑事が京都・哲学の道で買い求めた思い出の写真には、意外な悲恋の来歴があった。ある殺人事件が、写真に秘められた物語を甦らせる。ロマンチック・ミステリーの到達点。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バムケロ
1
◎ モーさんが追った事件よりも棟居さんのほうが好きだ。事件性どうのこうのよりも、なぜそんな事件があったか、それについて引き合わせた人たちは何を思ったか様々な事を考えながら読める。人間味溢れたミステリーだ。中でも「後朝の通夜」は読後すごく切なくなった。色々な職業や人生についての考え方・信念がある中、果たして被害者の選択は正しかったのだろうか…恋人の立場からすると、やるせない。2011/07/19
シュエパイ
1
綺麗なもの、尊いもの、愛しいものが失われる物語郡。棟居さんは、常にかなしい記憶の傍に立ち続け、見つめ続けるしかないのですね。同窓会の情景が、彼女の選んだ結末が、私には一番、愛しく、尊いものでした。2010/03/06