内容説明
東京の新開地、大塚村に生まれ育ったため、ほんとうの東京、江戸の下町も山ノ手もまったく分らない、という田村隆一が、岡本綺堂の名作「半七捕物帳」を手がかりに、旧幕の江戸、震災前の東京、そして戦後の東京を、足で歩いてみたり、舌で味ってみたり…「東京」という世界一の都、コンクリート製の新田園交響楽を愉しもうというのが本書の趣向。詩人の眼が捉えたユニークな“東京論”。
目次
青山の仇討
正雪の絵馬
むらさき鯉
向島の寮
奥女中
冬の金魚
湯屋の二階
津の国屋
柳原堤の女
三河万歳
わが幻花行〔ほか〕