Hayakawa novels
Y氏の終わり

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  • サイズ B6判/ページ数 533p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152088796
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

偶然はいった古書店で大学院生アリエルがめぐりあったのは、ずっと探していた『Y氏の終わり』という一冊の本。それは、主人公のY氏が人の心のなかでくりひろげる冒険を描いた、呪われているとされる伝説の小説だった。読み進むうちに、小説のなかの出来事は、過去に実際におこったことなのではないかとアリエルは疑いはじめる。そこに書かれた方法をためしたアリエルは、人の心のなかにはいることができるようになる。しかし、本を狙う男たちに追われ、旅に出ることに―。わたしがここにいる理由って?世界はどういうふうにできたの?この世界で、愛するとはどういうこと?長い旅を続けるうちに、アリエルが抱きつづけてきた疑問がひとつずつ解き明かされていく。ミステリの興奮、SFの思索、ファンタジイの想像力―イギリスの新鋭作家によるジャンルを越えた話題作、待望の邦訳。

著者等紹介

トマス,スカーレット[トマス,スカーレット][Thomas,Scarlett]
1972年、ロンドン生まれ。1998年にミステリ長篇Dead Cleverでデビュー。2001年には“インディペンデント・オン・サンデー”紙により「イギリスの新進作家20人」に選ばれる。現在ケント大学で英文学と創作を教える

田中一江[タナカカズエ]
東京女子大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

66
インターネットより、本を使って気になったことを次々と関連して実証実験を行う研究熱心女子、男にはモテるがセックスは年上専門、ネガティヴな同性愛者の男性と同居中のアリエルは「呪われた本」との異名がある『Y氏の終わり』を手に入れる。そして『Y氏の終わり』での妙薬を調合して飲んだ彼女に起きたことは・・・。自己性、選択肢の違いによる未来の開き、思考実験、時空の超越などがギュウギュウに詰め込まれて正直、全部、理解したとは言えない。しかし、意外な鍵を握る鼠の活躍に『銀河ヒッチハイクガイド』を思い出してニヤニヤ。2016/10/17

星落秋風五丈原

34
基本はヒロインが異世界トリップして冒険をするアドベンチャーで、本を巡る謎が並行して明かされる。ちなみに冒険といっても大学院生なのでオトナ要素あり。ヒロイン、アリエルは所謂選ばれし者としての先天的素質はない。しかし雑誌に科学哲学のコラムを書いたり、教授に気に入られて異世界の人々とも会話を交わすのだから何気にスーパーレディである。おまけに才色兼備で年上からも同年代からも好意を寄せられる二十世紀のアリスだ。そういえばトンネルをくぐって世界を旅する所はまんま『不思議の国のアリス』。 2018/06/25

Acha

9
何となくエンデの代表作2冊を思い浮かべながら読んだ。本がテーマで、時間を軸に謎の男たちが出てくるからだろうか。哲学や物理学?や様々な要素が織り込まれ、正直理解が及ばない部分もあったが、自分としてはファンタジーの要素が強く、不思議と惹き込まれた。本の謎に魅入られた主人公のオトナ女子の行動がまあまあ支離滅裂なことも、本好きの浪漫で許せてしまう。たまたま自分の書棚から、20年近く前の発刊当時の書評の切り抜きが出てきた後、ふと図書館で目が止まったので手にしてみた。こういう出会いもいいなと思う。2023/07/29

daimonn

9
再読。初読の時は人の頭(心?)の世界トロポスフィアや人や動物の頭の中を移動出来るペデシスのシステム、世界観が新鮮でワクワクした。その世界に魅了されつつ、今回は難しい理論についても眉間にシワを寄せながら考えてみた。…やっぱり難解だ。この世界にあるものが意識、思考し、定義する事で成り立っていると哲学的?に考え、この世界の全てのものが(思考ですら)同じ母親を持つと科学的?に考えられるところから、最終的に思考の果てとして(始まりの場所として?)行き着く場所があそこであるというのは面白い。…こういう解釈はアリかな?2014/09/23

ヱロ本Gメン

7
いかにもイギリスの幻想小説という手触り。様々な物理、哲学、科学談義を交えながらドラッギーなオカルト進行。目新しさはあまり感じなかっが、現在進行形の幻想小説という意味では面白かったし、記憶に残り続ける作品だろう。サミュエル・バトラーとホメオパシーに興味を持った。2015/12/26

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