出版社内容情報
わたしの分身が殺されて、死んだことになったわたしは”守る会”に保護された。それでも「ふざけんな」とは言わないわたしというぶざけた存在を、世界が容赦するはずもなかった――全2巻完結篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kanon
10
「そうだ。宇宙はこうやって生まれたのかもしれない」―いつの間にかそんな果てしない話になっていた。ドッペルゲンガーの出現から始まり…まあこの始まりからして既に何かがおかしいのだが。それらをすべて赦している内に、世界のそういう不可解な仕組みに「ふざけんな」と言わないでおいた内に、どんどん果てしなくなっていった。”考えるの飽きてきたなあ”ってそれ、もう最初から考えるってことしてないよね?あははははって。ラストシーンで世界が回転する描写に、やはり西島氏の絵の上手さを感じた。無駄なんて一切無い。空白の使い方である。2014/09/21
多田幾多
8
そして分身は増殖してゆく。そして自分が分身ではないと確信できなくなる。君は分身?分からない。君は本物?分からない。君はだぁれ?分からない。君は今、生きてる?・・・・解らない。 西島先生本領発揮の最後!!!!2013/05/16
モリー・ブラウン
5
そうなのだ、私に、そして世界に向かって「ふざけんな」と言ってやらなければこのくそったれな無限ループの宇宙から飛び出す術はない。それが最後で最初の呪文。「光あれ!」と願う前に。2013/01/13
べんぜん。
4
わたしは【わたし】ではなくしかも【【わたし】】でもない。じゃぁ誰?みたいなお話。あとで読み返そう!2012/02/02
爪楊枝茸子
3
分身という単純で複雑な現象を基調にした話。だんだんと誰が「本物」で誰が「分身」なのかわからなくなってしまい、それの見分けがつき始めなくなったところから背筋がゾッとし始めた。そこから物語も展開され、読者も幾度も考えさせられる。最後に近づくにつれどのような結末をここから迎えるのだろうかと何度も考えた。しかし実際に結末を迎えてみたら、「それはない」と呆れて笑ってしまった。これほど気持ちのいい裏切られ方はないだろう。最後に主人公が吐いた言葉が読者の気持ちを代弁してるに等しい。2012/01/12