内容説明
二・二六事件前夜。置屋の密室で芸者が刺殺された。詳細は「“乃木坂芸者殺人事件”備忘録」と縊死した囚人の手による「感想録」に綴られていた。“検閲図書館”黙忌一郎の依頼で調査を始めた特高警察の警部補が遭遇する奇怪な出来事…。黙が追いかけたドッペルゲンガーとは?昭和維新の影に潜む恐るべき陰謀とは?『ミステリ・オペラ』に続き、昭和史を探偵小説で描く“オペラ三部作”の第二弾。
著者等紹介
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年名古屋市生まれ。明治大学政経学部卒。1974年“SFマガジン”に「神狩り」を発表し、作家デビュー。天才の出現と絶賛を浴び、同篇は第6回星雲賞日本短篇部門を受賞した。デビューはSFだが、冒険、秘境、本格ミステリ、ホラーと創作の領域はきわめて広い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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勇波
47
いやー読むのに1ヶ月かかっちまったよ。色んな要素を詰め込み過ぎてもはやカオス状態。そして昭和史に疎いワタクシは2.26事件なんてファンタジーの世界であります。予習のつもりで宮部さんの「蒲生邸」を先月読んでみたけど…甘かったね。とはいえ『ミステリ・オペラ』に引き続き、あの世界観を再度味わえた事には大変満足。黙忌一郎のキャラも大好物。『ファイナル・オペラ』も大いに期待です★2017/04/29
藤月はな(灯れ松明の火)
25
表紙に「ふふ・・・アハハ!」と笑いたくなるような大盤振る舞い。日本の戦中史を詳しく教えてくださった高校の日本史のN先生に感謝。江戸川乱歩や芥川龍之介のドッペルゲンガー、荻原朔太郎作品と「猟奇の果て」、「D坂の殺人事件」、「押絵と旅する男」へのオマージュ。小林多喜二を殺したと言われる特高を主人公に暗躍する黙忌一郎。そして遠藤平吉=怪盗二十面相と阿部定、黙の宿敵との因縁。謎が多い二・二六事件をこのように提示したのはまさにエンターティメントならでは。しかし、最終的に前巻同様、ごちゃごちゃしていたのが残念。2012/09/22
マムみかん(*感想は風まかせ*)
20
検閲図書館・黙(モダシ)忌一郎を探偵役に、昭和史を探偵小説で描く〈オペラ三部作〉の2作目。 ついに最終巻、3作目の『ファイナル・オペラ』が出たのを記念して(笑)、6年ぶりに再読しました! 『押絵と旅する男』『D坂の殺人事件』『屋根裏の散歩者』『猟奇の果』…そして『怪人二十面相』!! 江戸川乱歩作品で読み解く二・二六事件は、魔術師のような男が操る壮大で荒唐無稽な代物でしたが、「もしかしたら…?」とつい思っちゃう、夢物語としてワクワクしました。 カバーイラストも、雰囲気があって大好きです。 2012/03/24
山田太郎
17
2.26事件事件よく知らないので、多分半分くらい面白さ損した気がする。第3弾はまだか?内容忘れないうち早く出してほしいものです。2011/02/10
ホレイシア
14
二・二六事件というのは創作意欲をかき立てられる素材なんですな。宮部みゆきの「蒲生邸事件」、恩田陸の「ネジの回転」、それぞれがらしい切り口で面白かったが、私向きだったのは本書。やるからにはここまでやらないと。でも、つい地図上に蒲生邸を探した馬鹿も私である(笑)。満足。2011/02/05