内容説明
21世紀初期、日本は世界経済を掌握する巨大ネットワーク国家となっていた。東京で国際情報調査会社に勤務する森口咲子には、もうひとつの顔があった。夜ごと彼女は精悍な男性に変身して「ヴィーナス・シティ」に現われるのだ。ヴィーナス・シティとはコンピュータ・ネットワーク上に構築された仮想現実都市。ヴァーチュアル・リアリティの技術を応用したこの電子都市では誰もが自分の望み通りの人間となり、あらゆる欲望をかなえることができる。ある夜咲子は、シティの中で暴漢に襲われた少女を助ける。犯人は何者か、その動機は?やがて事件は日本全土を巻きこむ国際情報犯罪に発展する…。仮想現実感とジェンダー、コンピュータ技術と日本の将来を迫真の筆致で描いた近未来小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1977年から
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1998年
sohara
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『3.11の未来』推薦本、さもなければ読まなかった本。どぎついのは嫌だし、かの『ニュー・ロマンサー』を最初の数ページであきらめたクチなので、サイバーパンクは苦手です。というわけで、柾悟郎初読み。インターフェイスだのノードだのという用語が頻出するので、文系読者としては、発売当時ではなく、20年後に読んで正解だった!それにしても、バブルがはじけず「世界が日本化」した時代、という設定には感慨深いものがあります。作中、認知科学用語として「トー結線」という仮説が出て来るのですが、これもフィクションなのでしょうか?2012/08/26
あまの
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近未来SF。仮想現実空間の中で起きた事件が現実にも関与してくる。電話回線がISDNになっていることを除けば、作り込まれた設定は今読んでも十分面白いです。1992年作。2012/05/01