内容説明
1988年12月、熱帯雨林で一人の男が殺された。シコ・メンデス―自分たちの生活の場である雨林を守ろうと、ブラジル・アマゾンで地域のゴム採取者の労働組合を組織し、開発業者と闘いつづけた男である。彼はすでにゴム採取者たちの権利のために活動する一介の労働者ではなかった。欧米各国を飛びまわって熱帯雨林保護の必要を訴える草の根の環境保護運動の指導者として、世界にその名を知られる存在となっていたのだ。彼の素顔と生涯を追う科学ジャーナリストのレヴキンは、開発にさらされ死滅の危機にある熱帯雨林の貴重な生態系の豊かさと脆さとを描きながら、同時に、森に生きる人々の苦闘とアマゾン開発の暗部をえぐりだす。環境ジャーナリズムの白眉!
目次
1 燃える季節
2 アマゾニア
3 涙を流す木
4 ジャングルブック
5 熱帯雨林で成年に達す
6 破壊への道
7 森林をめぐる闘い
8 荒々しき西部
9 勢力の結集
10 運動の拡大―環境保護運動とのむすびあい
11 メンデス海外へ
12 燃える森
13 死の季節
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
40
【シリーズ森13】1992年リオの地球サミット。そこから気候変動枠組条約がスタートし、アマゾンの熱帯雨林の保全が日本でも叫ばれた。グローバルな環境保全運動の熱い時代だった、と記憶する。あれからもう30年。地球環境問題が改善されてきたかどうかはさておき、当時、世界の眼をアマゾンの熱帯雨林に向けさせた一人が、シコ・メンデスだった。本書は1988年の末に暗殺された彼の功績を記録したノンフィクションである。凄まじい闘争だったのだ。■シコ・メンデスは、ゴム採取者である。アマゾンの原住民でもないし、地主(ボス)↓2021/04/30