感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
保山ひャン
1
イタリアの現代作家マリオ・トビーノによる1972年度カンピエーロ文学賞受賞作。精神病院を舞台に、そこで働く者や入院患者についてのエピソードを綴った1冊。イタリアでは1978年に精神病院をなくす法律が出来るので、その潮流を感得することもできた。主人公の医者はある患者を閉鎖病棟に移したあと、こう思う。「病人が妄想を抱いていることが明らかになったら、閉じこめればいい。簡単なことだよ。だが、事実はこうさ、おまえは狂気がこわいんだ、理解してやるかわりに手錠をはめてしまったんだ」恐怖でも嘲笑でもない立場に共感。2020/11/16