内容説明
美貌のLA公安官マリアはナノマシンを駆使して詩人の足取りを追い、カリブ海の独立国に潜入するも突然の国交断絶でとらわれの身に。一方被害者の父親の要請で、異端の心理工学者マーティンは詩人の精神へ禁じられたサイコダイブを敢行、異様なる心の迷宮に分け入っていく。そのとき遙か宇宙の彼方では孤独なAIに自我の萌芽が…めくるめくナノテク文明のヴィジョンを人間意識の深淵に重ねて描く、巨匠待望のSF巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
3
犯罪や不正の精神矯正の有無で階層化された世界は罰で管理され、その罪は精神にダイブ可能な心の「国」とヒスパニオラなる政治の闇を集約する国に代表される。後半はそんな地球から離れてアルファ・ケンタウリに着いた探査艇に搭載され、自意識をプログラムされたAIジルの語りが加わる一方、地球では事件の生存者が無意識に殺人者の心を詩にし始める。原題はQueen of Angels。古来天使は神の言葉を伝えるエージェントだが、本書での「女王」は小説というソフトウェアでの代表的エージェント、ナノレベルで捉えられた読者に思える。2018/08/23
ゲンショウ
3
探査機が自我に目覚め所が良かったです。本書を手放してから叙事詩である事が判り、後悔した事覚えています。
マサトク
1
下巻になってからは一気に読み進めてしまった。四つのストーリーラインが、(直接的にではなく)響きあいながら物語が進行する。ゴールドスミスの過去についてはヒスパニオラに潜入したマリアと航空券を使った「犯人」から明らかにはなるが、それがマーティンたちに伝えられることはない。訳者あとがきにもあるが、筒井康隆や夢枕獏の諸作品を感じられる読み味と物語世界だ。もっと精緻な読み解きにはおそらくヴードゥー教世界観の理解がいるなあ。ベアの描いたこのシリーズ、今更ながらだけど追っていきたい。2022/12/23
W.T.R.
1
ゴールドスミスの<精神の国>でのサブルーチンの暴走や人工知能ジルの自意識の覚醒は、ヘルクラウンによる精神の拷問や極度に発達したセラピーが精神をコントロールするまでに至った社会が生んだ新たな心の進化か突然変異か。僕の頭では一回読んだ位じゃ到底理解できん。これは再読必須かな。 同時進行の物語が集束することなく終わる独特の読後感は好き嫌いが分かれそうだが、登場するキャラは実に魅力的。特にマリア・チョイは可愛いっすw2013/11/20
NezMozz
1
割とスラスラ読めたけど、なーんか頭に入ってこないー…ディテールは浮かぶけど、さて結局のところどうなったん?ジル以外の何かしら解決したん?あとリチャードがとてつもなくめんどくさい。潜脳のとこは面白かった。2013/08/28