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内容説明
調味料のセールスをしているスメザーズが、ふとしたことから同居することになった青年リンリーは、ずばぬけて明晰な頭脳の持ち主だった。彼は警察の依頼で難事件の調査をはじめ、スメザーズは助手役を務めることに。数々の怪事件の真相を、リンリーは優れた思考能力で解き明かしていくのだった―江戸川乱歩が「奇妙な味」の代表作として絶賛したきわめて異様な余韻を残す表題作など、探偵リンリーが活躍するシリーズ短篇9篇を含む全26篇を収録。アイルランドの巨匠によるブラックユーモアとツイストにあふれたミステリ短篇集、待望の邦訳。
著者等紹介
ダンセイニ,ロード[ダンセイニ,ロード][Dunsany,Lord]
1878年生まれのアイルランド人。1905年の『ペガーナの神神』をはじめとするファンタジイ作品で名高い。イェイツなどとともにアイルランド文芸復興に取り組んだことでも知られる。1957年没
小林晋[コバヤシススム]
1957年生。東京大学卒。東京大学大学院修了。埼玉工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
82
有名な表題作だが、すぐに察しのつく程度の隠蔽方法をさも意外性のものとして俎上にのせる手立てが現代の感覚からするといささかお粗末…しかし、その隠蔽に付随する伏線を明かすことで、犯行の真相を語ることなく表現するくだりはひねりがあって、乱歩が絶賛したのはこの奇妙な落ち?だが 全体に仄めかしをミステリと履き違えて種明かしで悦に入る造りはいただけない。異色は〆の作品でファンタシーとミステリの融合がダンセイニらしくて、これだけは奇妙な味わいの今に通用する作品と感じた。2018/02/11
ちょろんこ*勉強のため休止中
80
江戸川乱歩はダンセイニを「奇妙な味」と評したそうです。表題作は特にそうですね。この本を読了後はえもいわれぬ不思議な感覚が頭に残りました。ほとんどの話がどんなジャンルか分類化しにくく、一言でこんな話だと言い切れないんです。なんとなくページをめくる手が止まりませんでした。語り部のスメザーズが販売してるナムヌモという調味料も名前からして珍妙だし、よく分からないけど惹かれてしまう類の本でした。感想が書きにくいのですが、こういう本がいつまでも印象に残るんだろうな...私にとっては「奇妙な魅力」の一冊です。2014/01/28
Panzer Leader
66
何かモヤモヤとした読後感ばかりの作品が多くて、こういうのが「奇妙な味」と称される所以なんだろうなと思った。そんな中でも表題作のラストは見事なほど不気味。2022/11/13
藤月はな(灯れ松明の火)
36
バベルの図書館シリーズで知ったダンニセイ卿が書いた異色ミステリー。ロアルド・ダール並のブラック・ユーモアにひええと慄きます。表題作は人間の消失に「あれか~」とすぐ分かりましたが現実にも小説より奇なりの事件があったのでそんなに驚かず。あとがきでもあったような別タイトルだと丸わかりですけどね^^;表題作を含めたリンリーとスメザーズのスティーガーとの対決シリーズ。スメザーズがスパイなどで大活躍。他は確信できるけど立証不可能の完全犯罪を描いています。「アテーナーの盾」は思わず、江戸川乱歩氏の某作品を思い出しました2013/01/22
紅はこべ
29
表題作は乱歩言うところの奇妙な味の代表作として、ミステリファンには有名だが、今回この作も含むリンリーものをまとめて読んでみて、奇妙な味の一言では括れないことがわかった。スパイものがあったり、リンリーが真相を突き止めても、逮捕や有罪判決に至らなかったり、この時代にしては、変わっているのかな。2014/05/18