内容説明
浄土真宗の祖のみならず、日本を代表する思想家、哲学者でもある親鸞。その生涯を、これまであまり用いられてこなかった史料をもとに大胆に読み解く。法然門下に入る前、何をしていたのか。正妻は誰なのか、妻は何人いたのか。夢告はあったのか。越後流罪後、京に戻ったのか。息子の善鸞を義絶した背景は何か。大家が描き出す、新たなる親鸞の実像。
目次
第1章 親鸞像を読み直す
第2章 童子としての親鸞
第3章 延暦寺官僧としての親鸞
第4章 法然門下としての親鸞
第5章 越後配流と関東布教
第6章 帰京後の親鸞
著者等紹介
松尾剛次[マツオケンジ]
1954年、長崎県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程を経て、山形大学人文学部教授。東京大学文学博士。専攻は日本宗教史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ispanoman
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日本の中世時代に既存の仏教の新興宗門が出来上がっていた経緯を親鸞の人生を軸に解説している。現在の在家仏教、妻帯僧の起源が分かりやすい。2013/09/02
オクヨ
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これまであまり用いられることのなかった史料によって親鸞の実像を描き直すという試み。史料批判の手続に難ありか・・・2011/07/17
aki
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僧でもなく、俗でもなく、その間をうまく、たちおよいだ親鸞の生涯を簡潔にまとめた本。『破戒と男色の仏教史』の著者だけに、親鸞と師僧の慈円が男色関係にあったことを暴露している。真宗関係の学者には絶対にできない大胆な発言だ。「延暦寺もまた男色文化が全面開花した寺院であった(中略)。稚児は師僧に犯されて初めて稚児になることになっていた」「親鸞も、童子として慈円に仕えていたのであるとすれば、そうした状況下に置かれていたと考えられる」と。2010/07/29
プリン
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浄土真宗の祖親鸞を、これまであまり用いられることの少なかった史料によって再検討した著作です。親鸞の思想というよりも、たとえば親鸞は玉日姫と結婚していたのかといった、親鸞個人に焦点を絞っています。これまでの研究史も紹介されており、とてもよい入門書だと思います。2010/07/14