NHKブックス
「かなしみ」の哲学―日本精神史の源をさぐる

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  • サイズ B6判/ページ数 237p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140911471
  • NDC分類 121.04
  • Cコード C1312

内容説明

わたしたちは古代から今にいたるまで、「かなしみ」を主題にした歌や物語に慣れ親しんできた。本来厭うべきであるはずのこの感情を積極的に享受し表現してきた日本人の態度から、どのような世界観を引き出すことができるのか。かなしむ「われ」(自分)の中に、日本的美意識や倫理感覚が生まれる瞬間を見定め、かぎりある人間とかぎりのない世界との関係の本質に迫る、日本思想研究の精髄を注ぎ込んだ力作。

目次

第1章 「かなしみ」という問いの原点
第2章 「かなしみ」の力
第3章 「かなし」という言葉の歴史
第4章 他者に向かう「かなしみ」
第5章 神・仏と「かなしみ」
第6章 「われ」という「かなしみ」
第7章 別れの「かなしみ」
第8章 「かなしみ」の表現
第9章 有限性/無限性の感情としての「かなしみ」

著者等紹介

竹内整一[タケウチセイイチ]
1946(昭和21)年、長野県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業、同大大学院博士課程中退。専門は、倫理学・日本思想史。現代に生きるわれわれの思想的課題を、これまでの精神史を掘り起こす中で探求している。2002年から東京大学COE「死生学」プロジェクト研究事業推進担当者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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はるわか

4
「かなしみ」とは、生きていること(死ぬこと)の深くゆたかな奥行きをそれとして感じさせる感情なのではないか。本居宣長:「物のあはれ」という「かなしみ」を通じての、となりの他者への共感や神々への随順。宮沢賢治:対象喪失(かけがえのない存在に死なれた)としての「かなしみ」と、神さま(まことの力)を信じながらそれをとらえきれてない「修羅」としての自分の「かなしみ」の相克・相乗。受けとめ手があれば、なお「かなしみ」は晴れる。2015/04/11

ken

3
――悲しみは避けられない—— それは頭ではわかっているけれど、一方で僕たちはこうも思っている。 ――できれば悲しみたくはない―― 悲しむことを恐れ、悲しみを誤魔化し、悲しみから目を背け続けるのが僕たちだ。 だけど、もし「かなしみ」に意味があるとするならば。 いや、「かなしみに意味がある」と信じることができるならば。 その時、僕たちは、人生のある時期に味わうという「かなしみ」とともに、人生を生き抜くことができるのではないだろうか。2022/06/04

宮古

3
宮沢賢治の「かなしみ」にふける。私も食物連鎖の外にいる人間が、その人間の一人である自分が、嫌になることがある。でも生き物を殺して食べなければ私たちは生きていけない。でも人間中心主義的な生き方がいいとは思わない。難しい…。 狩猟があったころは人間と動物が対等の関係にあったけど、そんな時代にはもう戻れるわけがないですしね。2014/11/23

RINA

2
「かなしみ」は否定的に捉えがちだが、もっと肯定的に受け入れてよいものだと感じた。本来厭うべきこの感情への見方が大きく変わった。2011/04/21

新地学@児童書病発動中

2
日本の文学や思想、宗教に現れる「かなしみ」という感情を通して、日本人の美意識や倫理を考察したもの。あまり西洋の哲学に触れずに、議論を深めていく手際は新鮮だった。「私」という存在は一回限りのものであること。逆に「世界」は無限であること。このギャップにかけられる心のあり方が、著者のいう「かなしみ」なのかもしれない。2010/12/21

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