内容説明
なぜ今「正義」なのか?経済格差のもとに社会が分断され、異文化との軋轢や理解不能な他者への脅えが生じるなか、「善」はもはや抽象的お題目にすぎないのか?ケータイ小説から沖縄基地問題までの多様な事例の検討、意表をつく思考実験、そしてカントからサンデルにいたる正義の理論を徹底的に吟味し、普遍的連帯のアクロバティックな可能性を論じる。大澤社会学、至高の到達点。
目次
第1章 物語化できない人生―「生きづらさ」の現在を考える(蝉の八日目;新しい傷;物語化できない他者)
第2章 正義の諸理論―サンデルからアリストテレスまで遡る(功利主義―「量大多数」か「最大幸福」か;リベラリズム―普遍性こそ正義の条件;コミュニタリアン―共同体こそ正義の条件;アリストテレス主義―幸福こそ正義の目的)
第3章 資本/国家/民主主義―物語はなぜ崩壊するのか(アリストテレスの盲点―快のパラドクス;アキレスと亀―“資本”のパラドクス;絶対王権をめぐる謎―市民社会のパラドクス;sリート主義と民主主義―代表制のパラドクス)
第4章 普遍的「正義」への渇望―リベラリズム再検討(イエスの奇妙な喩え話;二種類の物神化;知性の囲い込み;分断される労働者階級)
第5章 癒す人―正義と“普遍性”(マルクスはなぜホメロスに感動するのか;何が普遍的連帯を可能にするのか;人は運命を変えられるか;「新しい傷」はいかに癒されるか)
著者等紹介
大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年、松本市生まれ。社会学博士。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。2010年4月より個人雑誌『THINKING「O」』(左右社)を発行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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