内容説明
季語は俳句に限定されるものにあらず、日本人の精神風土を映し出す鏡である。気鋭の俳人が、短歌、小説、茶の湯、和菓子など、さまざまな分野から季語に凝縮された日本文化のエッセンスを汲み上げ、瑞々しい筆致で描く。現代生活で薄れつつある日本古来の季節感を再発見しつつ、季語の持つアクティブな息吹を味わえる一冊。
目次
桜―花見は仮面舞踏会?
時鳥―吉凶両面、ジキルとハイド的季語
蛍―唯一、「狩」を名乗れる虫
滝―異界への入り口
花火―毎年進化し続ける季語
七夕―七夕は摩訶不思議、複雑怪奇、欲張り至極
月―二つの顔=唯美的かつ現実的な月見
紅葉―有閑鬼女の宴のあとで
菊―めでたさもお悔やみも
枯れ―俳人は「枯れ」を偏愛する
雪―生活直撃型の季語
初日―太陽を拝む国、拝まぬ国
節分―ありがたきものは鬼
梅―おとなのための花
雛祭―「青い目のお人形」がもたらしたもの
野焼―火柱の体験
著者等紹介
櫂未知子[カイミチコ]
俳人。「銀化」同人。1960年北海道生まれ。青山学院大学大学院文学研究科日本文学日本語専攻博士後期課程標準修業年限満了。現在、神奈川大学講師。俳人協会、国際俳句交流協会、日本文芸家協会各会員。はじめ短歌にいそしみ、のちに俳句へと移行した。確かな知識と鋭い感性で、俳句界で異彩を放つ作家として注目されている
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