感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
11
精神分析はフロイトの人生を抜きにしては理解できないということであろう。2016/06/23
まれむりん
4
フロイト理論によるフロイト=精神分析学に対する精神分析という変わった趣向の本。客観科学として提出された精神分析学の理論体系(ex.エディプスコンプレックス、『トーテムとタブー』など)が、いかに人間フロイトの精神史に依拠して構成されていたのかを丹念にあぶり出していく。ある時代、ある状況の中で生きざるをえなかった1人の人間であるフロイトとその理論の限界を見据えつつ、結論部ではクラインや古沢平作らを引きながら、フロイトを越える精神分析学自体の可能性(小此木流の相互交流的なエロス論)を探る。という感じ。2014/01/06
夜間飛行
3
私はこれまでフロイトのことを、単に精神分析の創始者、無意識の発見者と考えていたが、本書を読み、フロイトその人への興味が膨らんだ。フロイトが、自分自身のエディプスコンプレックスを乗り越えていくまでの苦しみや、また、現実と幻想に引き裂かれた自己を統合しようともがき続け、最後は諦めの境地に達するまでのその苦闘を考えると、恐ろしくなる。フロイトの精神の歩みは、まさに偏見との戦いであった。本書は重たい読後感を残すが、現在、自分が本当に自由になるために、読んでよかったと思う。2012/11/04
asagon
2
これまでフロイトは精神分析の父、といった厳格な人、悪く言うと思い込みが強くて融通が利かない人、という漠然としたイメージを持っていたが、この本を読んで、とても誠実で人間的な人だったのだと思った。著者が人としてのフロイトを理解していく過程に沿っているような感覚で読めるのでわかりやすいのかもしれない。「医師としての分別」とか「山アラシジレンマ」など、フロイトがそれを主張するに至った背景がわかるので、決して頭の中だけで打ち立てた理論などではなく、欠陥のある人間として自らと向き合い苦悩しながら生まれたものだったと2014/06/22
シュミットさん
2
人間フロイトの軌跡を描く.どれだけ彼が苦しんできたのかを考えると,こちらも暗澹たる気持ちになる.2009/02/16