出版社内容情報
芸道思想の古典とされる世阿弥の伝書.そこに秘められた深い稽古の智慧.『風姿花伝』だけ読んだのでは見えてこない,伝書全体の根底に潜む壮大な稽古の逆説的ダイナミズム.「無心」「劫来」「我意分」「離見の見」――その稽古哲学を読みとく試みである.
内容説明
世阿弥は対立を生き、調和を生き、そして対立と調和の「移る堺」を生き、その「堺」の消え去る境地を生きた。予測不能な舞台に対処する稽古の智慧。新たに補章を加え増補新装版として登場。
目次
伝書はいかなる視点から読まれてきたか―そしていかに読みうるか
伝書理解のための補助線―理論枠組みの設定、そして作業図
稽古の教えに秘められた智慧―稽古の「次第梯登」
稽古開始以前の子ども―「七歳をもて初めとす」が前提にした子どもの身体
稽古における型の問題(研究ノート)
伝書における無心の厚み
伝書における二重の見―「離見の見」と「書く世阿弥」
有主風と我意分―無心における創造性・主体性とはどういうことか
息と音楽性―根底に流れる位相を稽古するとはどういうことか
序破急―成就するとはどういうことか
結び―むすんで、ひらいて
補章 世阿弥の還相―“他者”の問題
著者等紹介
西平直[ニシヒラタダシ]
1957年、甲府市生まれ。信州大学、東京都立大学、東京大学でドイツ哲学と教育哲学を学び、立教大学、東京大学に勤務の後、2007年より京都大学大学院教育学研究科教授。専門は、教育人間学、死生学、哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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