内容説明
浅井、織田、豊臣、増田、藤堂と、仕官先を次々に変えつつ天下に武名を轟かせた渡辺勘兵衛。権力に媚びず、世の常識にも抗って、胸中の“花の声”だけを頼りに乱世を生き抜いた武将は、戦国最後の戦い・大坂夏の陣で、主君・藤堂高虎の制止も聞かず、自慢の槍を手に大敵に立ち向かうが…。
著者等紹介
中路啓太[ナカジケイタ]
1968年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を単位取得の上、退学。2006年、「火ノ児の剣」で第一回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞、作家デビュー。『もののふ莫迦』で「オール讀物」主催・“本屋が選ぶ時代小説大賞2015”を満票にて受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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如水
19
渡り奉公、まぁ分かりやすく言うと己の才覚のみで合戦を渡り歩き大名にその才覚を買って貰う、で条件合わなかったり気に食わなかったらバイバイ・・・そんな自由人渡辺了のお話。さらっと書きましたけど、この渡り奉公、メチャ大変なんですよ、自分で軍隊抱えないといけないから。しかも浪人中も。一節によるとこの人浪人中でもさくっと千単位で動かせたというのでなんてカリスマ。内容は関ヶ原直後から。メインは藤堂高虎との確執。もしこの方に興味をもたれたら池波正太郎の『戦国幻想曲』をどうぞ。いくさ人はこうあるべき!か?2017/10/17
誰かのプリン
14
単行本「恥も外聞もなく売名す」の改題。主人公は、戦国時代の私の好きな武将のひとり渡辺官兵衛。 何度読んでも官兵衛はかっこいいな。それにしても高虎の粘着質な性格は、何度読んでも許せない。 面白かった。一気読みです。2017/06/10
金吾
7
○面白かったです。勘兵衛の生きざまが爽快に描かれています。自分を持っている人間の強さを実感させられる本ですも。高虎や高刑は敵役とはいえあまりにも情けなく書かれており少し同情しました。2020/01/17
yamakujira
4
大和郡山城の開城でさらに名を上げた渡辺勘兵衛は、破格の待遇で藤堂高虎に仕えながら主従の確執を招き、大坂の陣で活躍の後に牢人してしまう。槍働きに賭ける渡り奉公人としての生き様が痛快な一方で、勘兵衛の敵役として高虎の描かれようがあまりにも気の毒だ。一職人として我意を通す勘兵衛よりも、社長として会社経営に腐心する高虎の方を贔屓したくなるね。物語はさておき、諱を呼ばない会話文に感心した。でも、大学頭(高次)などと注釈を加えたり、佐渡守殿が泉州殿に変わったり、慣れないとわかりにくいかな。 (★★★☆☆)2021/09/17
tako_machida
4
藤堂高虎のことをあまり知らなかったので、その家臣渡辺勘兵衛のことは全然知りませんでした。自由奔放というか自分を貫き通す勘平衛がカッコよかったです!2017/04/09