中公文庫<br> これからの橋 花

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中公文庫
これからの橋 花

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  • サイズ 文庫判/ページ数 404p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122056169
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

十八歳のお妙は父をすでに亡くし、母も二年前から寝ついているが、兄・義姉と平穏な日々を送っていた。一方、四十年にもわたる仇討ちの旅を終えた六十歳の奈倉甚九郎という老人がいた。彼は敵の死亡を藩の不手際で知らされることなく、十五年も無駄歩きしていたのだが…(「短日の菊」)。自選短編集『これからの橋』三部作完結。

著者等紹介

澤田ふじ子[サワダフジコ]
昭和21年(1946)、愛知県生まれ。愛知県立女子大学卒業後、教師、西陣綴織工を経て作家に。57年『陸奥甲胄記』『寂野』で吉川英治文学新人賞を受賞。平成16年度京都府文化賞功労賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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山内正

4
妙は赤坂口先の老人がどんな人かと 四十年前敵討ちの旅に諦めた時 郡上で名を変え十五年前死んでいた 大垣藩が報せた書状を見失う 登城しやっと次第が明らかに 赤坂口に屋敷家禄を与えると謝る 妙の貰って来る野菜や花に 祖母がどうしてかと聞き 甚九郎様と名の敵討ちの後帰られた 兄夫婦の後で嗚咽する祖母に驚く 涙が止めどなく流れ深く頭を下げ 貴方の戻りを待て無かった私を 許して下さいと心の中で謝る 数日で急死した祖母に花をと 甚九郎の元に お妙どのは母様の若い頃にそっくり じゃ そうか亡くなられたか! 2020/02/15

山内正

3
比良山の滝近く住み着いて修験者 が行に 龍神などととんでも無い 滝の底の山椒魚 志しなど持った覚えが無く 子供達が松茸や蕨を取りに来る  千松もっと強うならな小梅ちゃんに愛想付かされる 来年京へ戦奉公に行く  この滝の底に主がおるんや  武者が潜ってそのまま朽果てた白骨が底にある  小梅が滝に来た腹を膨らませ苦しげに水底に沈んだ  隣の千松は近江の戦へ  三年経っても五年経ったら首がきた 村で小梅と暮せばよかったのに 大きな流れでふわっと小梅を持上げ岩の陰へ運んだ2022/03/28

山内正

2
厚い布団で小刻みに震え 市左衛門こっちに来るのじゃ 薄れる意識の中父親の声だけが聞こえる もうちょっと待ってもらえまへんか 悪どい商いして一度だけ 母子に慈悲を掛け地獄を免れたぞ 先に見える命の灯を取替えた 宙に浮いた身は闇に溶け込み 己の亡骸や泣く娘の姿を見下す 一体誰に慈悲を掛けたのか? これは不思議、脈も絶えたのに 生き返りはった旦那様と声が聞こえ 弟彦七が二人だけの部屋で 良うございましたあの日植木職人の 正五郎が木から落ち死んだのにと あの命の灯取替えたのは正五郎のか 市左衛門は悔やんだ 2021/06/09

山内正

1
祇園門前町の芝居小屋から老人が放り出されチャカチャカリンと拍子を 美濃屋で酒を呑み又夜回りに歩く 鴨川を渡り四条に出て 番屋から声が 人の酒呑んでと 先程の老人がチャカチャカリンと唄う 仕方なく担いで戻る頼助 名は正蔵 美濃から妹が訪ね 十五年前に旅役者を追って出たと 臥せった正蔵が紙を出して何か書いてある チャカチャカリンと酔って唄う文句があった 世話になった芝居小屋に恩返しにと 書いた囃子だと せめて死ぬ際にと 試しに人を集めやってみる チャカチャカリンと囃子も添えて 京の芝居を華やかにと花街に残る2020/02/27

yukiko.k

1
雪月花最後の三部作目・花。 人外なものまででてきて、面白かった。やりきれない最後のもあり、電車の中で涙を堪えるのに苦労しました。 三部作の短編どれも飽きず更に短編で涙までさせる作者の力が凄い。2016/08/10

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