中公文庫
藝術とは何か (改版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 165p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122051546
  • NDC分類 704
  • Cコード C1195

出版社内容情報

非情な現代文明の本質を分析し、それへの抵抗として藝術の存在を意義づけ、可能性における人間の美しさを追求した傑作長篇評論。〈解説〉松原 正

内容説明

芸術こそは、人間の慾望のもっとも端的なあらわれである―。人間の才能を殺しつつある現代文明の本質を鋭く分析し、それへの抵抗として芸術の存在を意義づけ、現実における人間の醜さではなく、可能性における人間の美しさを追求した長編評論。

目次

1 呪術について
2 呪術の現代的考察
3 演戯ということ
4 演戯精神の衰退
5 選民の芸術
6 弁証の芸術
7 意匠の芸術
8 視覚の優位
9 カタルシスということ
10 ふたたびカタルシスについて
11 芸術とは何か―結論として

著者等紹介

福田恆存[フクダツネアリ]
大正元年(1912)、東京に生まれる。東京帝国大学文学部英文学科を卒業。戯曲『龍を撫でた男』で第四回読売文学賞戯曲賞、「『シェイクスピア全集』の訳業」で第二回岸田演劇賞、第十九回読売文学賞研究・翻訳賞、「『ハムレット』の翻訳・演出」で芸術選奨文部大臣賞、『私の國語教室』その他で第十二回読売文学賞評論・伝記賞を受賞。平成6年(1994)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Yuusi Adachi

11
演劇評論家で劇作家の福田恆存氏の思想の原点。氏が言いたいことは一つ。本書の引用からの孫引きになりますが、プラトンの「ギリシャ悲劇はカタストロフィーである」。氏は古代人の祭祀や、仮面劇にカタストロフィーの根源を見る。ヨーロッパでは、その後、キリスト教文明が支配し、神→教会→人間という支配・被支配という関係が続き、カタストロフィーとしての芸術は衰退する。近代に入ってからは、絵画や彫刻、映画などの作品は自己表現が主体となり、藝術が持つ機能が喪失しているそう。至言ですね。藝術を人間に置き換えれます⭐️⭐️⭐️⭐️2014/10/22

ヨー

3
まあまあ2023/11/15

yu01

3
"真が狂うところで、美は正気を維持します。それは激烈に転回しているがゆえに静止しているコマのようなものだ。" "文学は、生命の根源からもっとも分岐してしまった思想と現実とが、その根源に復帰し、自己の生理を獲得しようとする運動なのだ。" 2012/09/16

急性人間病

2
演劇上げ(他下げ)というより、藝術なるものと個人が関係を結ぶにあたって、演劇にはカタルシスという名の“ゼロの静止”を呼び込むための、古代からのアドバンテージ(観客ごと演戯に参加する空間たりうること)があるという感じか。一見当たりキツめに見える私小説、映画、スポーツについても、むしろ個人がどう対峙しうるかという可能性の一端には触れてる印象。ところで演劇畑の著者は、直線運動はいかんぞ、舞台の端に着いたら戻って来いよ、というスタンスだが、私なんかは映画に直線運動の別個の画期性があったりしねえかな、と愚考したり…2024/04/25

JVSTINVS

2
さすが福田なので名文である。福田の文章がわかりづらいのは、ひらがなが多くて手っ取り早いキーワードがないからだが、それはまた、カントを読むなら「ア・プリオリ」に「悟性」に「格率」というような安易な読みをさせず、論理的に読ませるからだ。とはいっても、この芸術論でものたりないのは、「伝える」ことの呪術性に筆が及んでいないことである。2023/06/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/568643
  • ご注意事項

最近チェックした商品