内容説明
四八歳の藍沢晶子には、陶磁器メーカーに勤める二歳上の夫・紳之と二三歳の娘・陽子がいる。二五年間の結婚生活を過ごした晶子は、ある冬の日、家を出る決意をした。その時、紳之の部下であり陽子の婚約者でもある村瀬からの電話が鳴った。自分より二〇も年下のこの青年を、晶子は奪いたくなる―。
著者等紹介
連城三紀彦[レンジョウミキヒコ]
1948年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。78年に『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。81年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、84年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞する。96年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。流麗な文体で描かれる奇抜・斬新な発想、男と女の機微は独自の世界を構築している
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感想・レビュー
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MIKETOM
9
四人の男女。紳之はチンケなクソ。小物界の小物。エリート気取り、家族愛気取り、世間体ETC。非情にイヤらしい人物。村瀬。純情・純真・一途・ひたむきETC。28歳。もう少し社会人としての狡さを身に着けろと言いたいが、このキャラだからこそ本書が成り立つ。晶子と陽子。どちらも純な部分も持ち合わせているが、強かな狡さも十分に持ち合わせていて、本書にリアリティを与えてくれる。この四人がバトルロイヤル風に恋愛劇を見せてくれる。なかなか繊細で流麗だが、ちょっと捏ね過ぎなのと独白の部分がくどくてイラつく。でもまずまず。2022/11/20
浅木原
3
刊行順では最後のミステリ要素のない長編。人妻(48)が娘の婚約者(27)と浮気する話なんて俺には全く興味の持てなさそうな話なのに、これがまた読ませる。主人公と夫、娘と婚約者の四人それぞれが抱えたものをぶちまける中盤の銀婚式とかすごい盛り上がり。ギリギリ連城がやりすぎない長さでまとまってて、話の発端が行方不明になることもなく、あれよあれよと最後まで読まされてしまう。同時期の『秘花』と合わせて連城恋愛小説が時代に取り残された所以も見えるけど、面白かった。でもこのタイトルは微妙に内容に合ってなくね?2014/08/13
yumin
2
母親にとって娘はライバルになることがある。しきりに「48歳」と繰り返されるところがあるが 若くも無い、かと言って「おばあさん」にはなっていない微妙な年頃。女は捨てきれずにいるけど 「女」として認めてもらえているのか。結婚生活数十年、自分はちゃんと「自分」を生きてきているのか・・もがく気持ちは近い年じゃないとわからないだろうな。2013/03/10
アンコ椿
0
この分野では藤田宜永より上手い。2014/06/01
Ranko Taguchi
0
702004/05/04