内容説明
もはや世界は、東京だけでも足りず、パリだけでも足りない―東京とパリでの同時的な暮らしの中でめぐり逢った、ふたつの都の新しい美と誘惑。カラー写真40点収録。
目次
東京(東京に詩を感じるとき;東京の美に胸おどるとき)
パリ(パリ―その変貌への誘惑)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yukiko
9
前編の東京を読み始めて、あぁこれは1980年代の東京だ。。と懐かしくなった。豊かで未来に不安を感じることなく都会の美しさを味わえた、その有り難さについても知らなかった。 東京の美について、「都市という立方体を解体して、季節と天候と時間のカンヴァスの地に溶け込ませる。そのとき、混沌とした建物の集団は、突然、焦点のあった映像のように、くっきりと美しく立ち現れてくる」、もう一度、そういう美しさを探してみようか。2017/09/06
あきあかね
8
人は誰でも、忘れられない風景、郷愁をかきたてるような風景を心の中に抱いているのではないか。 お台場海浜公園の夕暮れ―まだ作りあげられる途中であるレインボーブリッジを遠景に、凪の海には屋形船が浮かんでいる。ぼんやりと霞むような大気を、傾いた夕暮れの太陽のオレンジ色の光が包み込む中、浜辺には、二人の恋人たちが、ゆっくりと歩を進めている―。 本書は、日本の大学で教鞭をとりつつ、パリの大学でも日本文化を教えていた著者が、東京とパリという二つの街並みについて書いたエッセイ集で、⇒2019/01/05
utataneneko
4
長い時間かけて少しずつ読んでいた本。ごちゃごちゃして一見見苦しい所もある東京の美の再発見と、整然とした石の街パリの別の一面…。それぞれが味わい深く、多くの美しいカラー写真とともに堪能した。2011/11/18
角
2
辻邦生が東京とパリとを考察するエッセイ3編を収録。東京の美を再発見する過程を記した文章は、真摯さとともにどこかその発見プロセスを楽しんでいるような著者の姿がほの見える。一方、パリの空間感覚の探求からその変貌までを語る文章では、歴史と空間の双方向から光を当てられて、そのパースペクティブの広さに眩暈すら覚えつつ、パリという都会が冒険的なものとして立ち上がってくる。辻邦生は「たえず書く人」だったが、それはたえず考える人であり、探求する人であり、楽しむ人でもあったことを示しているだろう。2020/03/07
ロバーツ
0
新婚旅行の機内に忘れた本。それ以来の再読。2020/03/19