目次
浮舟〈2〉
蜻蛉
手習
夢浮橋
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
17
これまで読んだ現代語版の中で最長だった窯変、遂に読了。光源氏亡き後は語り手が彼でなくなってしまい、窯変ならではの醍醐味が失われてしまったように感じていたのだが、語り手が紫式部に変わったことの意味、それがラストで腹落ちした。女として自立してしまったが故に生きることの出来なくなった浮舟。彼女の物語を描き、一千年後の世では果たして女が自立することが許され、生きていくことが出来るようになっているだろうか?という紫式部の問いかけと共に終幕。オリジナルの尻切れトンボっぷりは伝説的なレベルだが、窯変の真骨頂がここに。2022/04/21
NORI
1
読みやすい。その帖開始時の年齢付き人物相関図が記載されており、理解の助けになる。
Noelle
0
橋本源氏 ようやく全読了。おそらく原文の文章のあわいにある それぞれの登場人物の思いを橋本流に書きつのるとこうなるんだろう。しかしこの人の書く言葉は原作もかくありなんと思う雅趣をたたえつつ、とても現代的なニュアンスをも内包した平安人の心の内を言葉で顕し、源氏の世界を無理なく今の私たちの理解のうちに展開してみせてくれる。他の現代語訳の源氏とは一味違った源氏であった。宇治十帖以前の光源氏独白の恋の解釈もさもなん、宇治十帖の浮舟述懐もなかなか、個人的には違和感のあった浮舟の心情が上手に語られた感があった。2015/10/02
madhatter
0
再読。自己主張薄き宇治十帖のヒロイン・浮舟の唯一の自己主張は「どちらも選ばない。出家する」だった。それを女の語りで構成したことは非常に良かったのではないかと思う。結局、橋本氏の再構成を以てしても、浮舟が心を寄せた薫がどこまで彼女を思い、彼女をどうするつもりでいたのかはわからない(それとも、女の語りによって、意図的にそこはぼかしたのだろうか)。それを思うと、彼女の選択を「男の論理」で解剖されてしまっては堪らない。2012/08/13
秋
0
ようやく読了。いやー時間かかったなぁ…! 雲隠以降の話がようやく読めました。原典ではどう書かれてるのかわからないけど、誰もかれも基本自分中心よね。考え方が。それが、橋本氏が原典から読み取った平安貴族の姿、ってことかな。実に生々しかったですw2012/08/13