目次
浮舟〈2〉
蜻蛉
手習
夢浮橋
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
23
橋本治としては「宇治十帖」はあまり改編するところがなかったようだ。「手習」でただそのまま物語をなぞるのは、浮舟が出家して御経を写経するのと同じようなことなのかもしれない。それは己に巣食うもののけというべき自意識であり、それが社会と相対する。千年前の物語を「手習」するというのはもののけに憑かれたようなものなのである。それを浮舟の中に見出す自意識という母や肉親の愛をも断ち切ってしまうものの姿(もののけ)であり、浮舟の存在は千年前に置き去りにされた現代人のようだった。2024/09/02
LUNE MER
17
これまで読んだ現代語版の中で最長だった窯変、遂に読了。光源氏亡き後は語り手が彼でなくなってしまい、窯変ならではの醍醐味が失われてしまったように感じていたのだが、語り手が紫式部に変わったことの意味、それがラストで腹落ちした。女として自立してしまったが故に生きることの出来なくなった浮舟。彼女の物語を描き、一千年後の世では果たして女が自立することが許され、生きていくことが出来るようになっているだろうか?という紫式部の問いかけと共に終幕。オリジナルの尻切れトンボっぷりは伝説的なレベルだが、窯変の真骨頂がここに。2022/04/21
satooko
1
学生のころから読まず嫌いで受験教材以外一切無視してきていたのに、大河ドラマのおかげで、ついに読了しました。でも橋本治の窯変だったのでそれが可能だったんだと思っています。光源氏より、紫式部のすごさにただただ脱帽です。2024/11/15
NORI
1
読みやすい。その帖開始時の年齢付き人物相関図が記載されており、理解の助けになる。
Noelle
0
橋本源氏 ようやく全読了。おそらく原文の文章のあわいにある それぞれの登場人物の思いを橋本流に書きつのるとこうなるんだろう。しかしこの人の書く言葉は原作もかくありなんと思う雅趣をたたえつつ、とても現代的なニュアンスをも内包した平安人の心の内を言葉で顕し、源氏の世界を無理なく今の私たちの理解のうちに展開してみせてくれる。他の現代語訳の源氏とは一味違った源氏であった。宇治十帖以前の光源氏独白の恋の解釈もさもなん、宇治十帖の浮舟述懐もなかなか、個人的には違和感のあった浮舟の心情が上手に語られた感があった。2015/10/02