中公文庫<br> 沖縄文化論―忘れられた日本

電子版価格
¥754
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

中公文庫
沖縄文化論―忘れられた日本

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 261p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122026209
  • NDC分類 382.199
  • Cコード C1195

内容説明

苛酷な歴史の波に翻弄されながらも、現代のわれわれが見失った古代日本の息吹きを今日まで脈々と伝える沖縄の民俗。その根源に秘められた悲しく美しい島民の魂を、画家の眼と詩人の直感で見事に把えた、毎日出版文化賞受賞の名著。

目次

沖縄の肌ざわり
「何もないこと」の眩暈
八重山の悲歌
踊る島
神と木と石
ちゅらかさの伝統
結語
神々の島久高島
本土復帰にあたって

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

s-kozy

60
未だ軍政下にあった1959(昭和34)年11〜12月の沖縄で太郎が見たもの、感じたことの報告。太郎はそこに日本では閉され、忘れさられ、現代生活の外に押しやられている、日本の原型のようなものを見い出す。この発見を伝えようとする太郎の熱量が物凄い。七五調の文体、効果的な体言止めとこの本の文章も非常に良い読みやすい。名著と言ってよいのではないでしょうか。2018/06/07

ホークス

52
岡本太郎氏の本を読むには覚悟がいる。対象(本書では沖縄)に正面から取り組み、本質に向かってグイグイ進んでいく。正解を示すのではない。同じ木を彫っても彫刻家ごとの作品になるように、考察も独自の表現だ。著者の考察は、「生きるとは生命を開き切ること」という持論そのままに疾走する。常識も世間も無い。読者を導かず、「お前はどのように感じ、考えるのか」と問う。狭い視野に自縛されがちな人間の悲哀を踏まえて。厳しくて真っ当で痺れる。沖縄から展開する歌や踊りの考察に加え、全てをリセットする日本論、沖縄論が良かった。2020/12/24

AICHAN

37
図書館本。著者は「芸術は爆発だ!」の岡本太郎。戦後間もなく、内地で沖縄舞踊を見て胸を打たれた岡本は沖縄文化に興味を持つ。返還前の沖縄を訪 れたのはそのためだった。しかし沖縄には、洗練された文化らしい文化がないと感じた。かつて見た沖縄舞踊は士族のもので、一般民衆の中に優れた文化は見つからなかった。それは貧困のためだったと岡本は悟る。貧しい民衆の中に入っていった岡本は、一般の人々の歌舞や信仰の中に沖縄の文化を見いだす。それは貧しかったかつての日本内地の文化に通ずるものであった。2018/12/04

Shoji

32
1959年の沖縄の民俗を丁寧に採取して書かれた本である。 沖縄返還前である。 当時、石垣島は一周するのに3泊4日かかり、舗装道路はほぼなく、子供たちは半裸で生活していたそうだ。 現在では、乗用車で一時間半もあれば一周できてしまう。 著者があとがきで書いている。 「沖縄はあくまで沖縄であるべきなのだ。決していわゆる「本土なみ」などにはなってはいけない。」 3泊4日が一時間半に短縮されて失ったものも多いはずだ。 考えさせられる一冊であった。2016/04/14

澤水月

24
独自料理を出す店なく江戸前寿司屋でビール80セント…返還前1959年の沖縄、円が使えないのだ。琉米社交の様子切り込む筆に驚く。人々の素朴さ称え江戸からの苛斂誅求に怒りつつ、中国文化反映した建築や上流向け舞踊に関心示さず。御嶽独自の「何もなさ」に一番感銘。やり過ごすばかりでいいのかと島人に直接怒りぶつける。芸術だけでなく言葉の切れ味と説得力物凄い。本土こそ沖縄に復帰すべしと結ぶ(刊行が復帰の72年)。養女で恋人の敏子のあとがきも良い、90年代の筆だろうか。12年一度のイザイホー祭、刺青ハジチの記録も貴重2017/09/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/467181
  • ご注意事項