中公文庫<br> 夏の旅人

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中公文庫
夏の旅人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 571p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122020214
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

太平洋戦争で日本が血みどろの死闘を繰り返していた時期に、ひとり黙々とアルプス登攀に挑み続ける男がいた。彼は何を考え、何のために、雪に覆われたモン・ブランの険しい岩壁にとりついていたのだろうか―。これは、大正から昭和への日本と世界の動乱の時代に、自ら信ずる理想への道をひたすら突き進んだ若者たちの、鮮烈な魂の冒険物語である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@80.7

54
もっと多くの人に読んで欲しい本。大正から昭和にかけて共に青春を駆けた若者たち。戦争に背を向けてアルプスに登った男を基に書き上げた森詠。時代や国家に翻弄され散って行く者たち。日本を離れ他国の内戦へ身を投じる姿を疑問に思えるのは今が平和な時代だからか。大勢の名もなき若者たちのかけがえのない命が取られてしまった事を思う。きっと次郎は約束を果たしにきっと登ったんだろうな。またいつか読み返したい。2020/09/08

goro@80.7

14
太平洋戦争真っ只中、一人アルプスを登る日本人五代次郎。大正末期軍国に向かう中、それぞれが夢を抱きつつも少しづつずれて行く仲間たち。日本を離れスペイン内戦にに身を投じる次郎。儚く散って行く友や恋人。戦争に背を向け山を登る次郎の胸にあるのは後悔だけだったのかは分らない。戦時中アルプスに登った日本人がいたという記録をもとに書きあがった青春物語です。2014/08/07

takeapple

8
森詠の最高傑作だと思う。米騒動から第二次大戦までの日本で、自由と夢を追い求めた若者たちのお話。作者が長野県S市で、赤報隊について調べていたとき偶然見つけた、第二次大戦中にモンブランなどヨーロッパアルプスを単独登攀していた男の記録から始まる。弱者へのまなざし、時には命を懸けずにはおけない生き方、愛、人のためにがんばること、自由、希望。そんな冒険小説の面白さがすべて詰まっている。最後の著者の言葉「若者を大事にしない社会は、決していい社会ではない」がとても重く響く。今の時代だからこそ、もっと読まれてほしい。2016/01/11

くまたす

6
★★★★★ 大正の終わりから激動の時代を生きた男たちの物語。負けん気の強い、少々生意気な少年はやがて自由と平等を渇望し、革命運動に身を投じる。挫折や困難を経て、舞台はフランス、そしてスペインへ。とんでもない本に手を出してしまったな、と…。読書メーターのご縁で知った作品だけど、読者がほかに2人しかいないなんて…!!こんなにすごい作品なのに。魂ガクガク揺さぶられるのに。共産党やら革命やら、小難しい言葉が並ぶけど読みにくくはない。それぞれの少年が、自分なりに幸せのあり方を追い求めた時代と国境を越えた冒険譚。2020/09/19

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