内容説明
片上伸、相馬御風、生田長江、赤木桁平、広津和郎、佐藤春夫―評論家でもあった大正期の文人たち。文壇を賑わした彼らの文芸評論の真贋を、その論述の中に探索しつつ、一人一人の批評精神のあり方を秀逸な批評眼で分析する、力作評論。
目次
片上伸
相馬御風
生田長江
赤木桁平
広津和郎
佐藤春夫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブトムシ
17
広津和郎「志賀直哉論」は、大正8年(1919年)に発表された。谷沢永一は、これを「近代日本文学がはじめて持ち得た真正の作家論」と高く評価している。10年後の小林秀雄の「志賀直哉」も、論の骨格において広津のこの一文をぬけでることができなかった。広津和郎が志賀の周りにはりめぐらした足場をとり払って別個独自の志賀批判を構成する仕事が、昭和28年(1953年)の中村光夫の「志賀直哉論」にいたるまでほとんど不可能であったと批評史的事実を記している。広津和郎は、志賀にとって好意的な「志賀直哉論」を書き、親交があった。
寛理
1
これは面白い。片上天絃、相馬御風、生田長江、赤木桁平、広津和郎、佐藤春夫の6人について、その評論の要点をずばりと言い当てている。わりと彼らの限界を指摘する書き方がなされているが、ここから批評の未来を考えることができるだろう。特に佐藤春夫論は秀逸。2021/04/16