内容説明
了解不能なストレンジャーとして出現する少年。少年とは何なのだろう。どこか遠くに行ってしまった彼との交信を求めて、「十二の物語」のなかの少年を解読する。
目次
根源的な無垢を求めて『ライ麦畑でつかまえて』(J・D・サリンジャー)
喉ぼとけの“聖痕”『猫と鼠』(ギュンター・グラス)
野生の森の反少年『蠅の王』(ウイリアム・ゴールディング)
妹を愛した心優しいエゴイスト『荒れた海辺』(ジャン=ルネ・ユグナン)
生を肯定する「一杯の水」『人間喜劇』(ウイリアム・サロイヤン)
映画館という巨船に乗って『シネロマン』(ロジェ・グルニエ)
ひとりぼっちの逆十字軍『異端の鳥』(イエールジ・コジンスキー)
逆立ちしたファンタジィ『木のぼり男爵』(イタロ・カルヴィーノ)
アメリカ父性社会の未完の幸福『家族のなかの死』(ジェームズ・エイジー)
「ドンマイ、ドンマイ」『下駄の上の卵』(井上ひさし)
汚濁を通って森の宇宙へ『芽むしり仔撃ち』(大江健三郎)
「破壊せよ」とキクは言った『コインロッカー・ベイビーズ』(村上龍)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
21
『少年』という宙ぶらりんの存在をテーマに、名作12編の作品を語る批評エッセイ。 『ライ麦畑でつかまえて』『蝿の王』『コインロッカー・ベイビーズ』『芽むしり仔撃ち』など。作品の紹介と読みどころを押さえている。平易な内容のエッセイでわかりやすい。自分は本を重複して買うことが滅多にないのだが例外的な数冊の一つがこれ。優等生的であっさりしすぎていて記憶に残らなかったのが重複買いの理由だとわかった。数十年ぶりに再読。2014/09/20
カツェ
1
読みが丁寧で繊細、そしてちょっとセンチメンタル。2014/07/08
丰
0
Y-202006/06/19