中公文庫<br> 怪奇な話

中公文庫
怪奇な話

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  • サイズ 文庫判/ページ数 223p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122009479
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ワッピー

41
再読。初読時はヘルニアの手術で入院しているときで、初めて接した独自の文章に悶絶したが、今回も変わらず。思考の流れをそのまま写しているように文章が長く、AでもなければBでもなく、さりとてCというわけでもないという流れが続くため、目が滑ってさながら堅くて濡れたタイルの斜面を必死で登ろうとしているような歯も爪も立たない、しかしところどころ美しい情景が出てきたりして、まったくわからないとも言い切れないということでもある。タイトルの通り不思議なことが描写されているのは確かなのだが、それが不思議であると感じる前に⇒2020/08/30

paluko

7
師匠の推薦本。怪奇というよりは「夢幻」の印象が強い。超常的なあれこれが現出しているようではあるが、あくまでも体験している本人の内面から描かれるだけなので、超常「現象」とはいえないような。神保町を歩いていたのがいきなり英国の田舎を歩いている「流転」、宝籤売りの婆さんがメフィストフェレスの如くあれこれの享楽を味見させてくれる「お化け」、ジャック・フィニイの作品を連想させるようなノスタルジーの「化けもの屋敷」が良かった。特に「お化け」の結び方が洒脱で気に入った。2020/08/27

Ex libris 毒餃子

6
吉田健一の酒呑みエッセイから入ったら面食らった。自分には難しい内容だった。2018/05/29

うえ

5
「怪奇な話と呼べるものは海には幾らもある。これは一つには海がそこで最初に生物が現れたのであるにも拘らず、或は却ってその為に人間にとって未知のものが多くて消滅し掛けた記憶の余韻のようなものが未知を謎で包んで人間に問い掛けて来るという働きをするからかと思われる。…例えば船が進む方向に全く予期していなかった船が現れて衝突は免れないと見えた瞬間にその船が消える。或は昔の捕鯨船が鯨を追っていてその鯨に銛を打ち込む小舟が降せる距離まで来るとそれが鯨でなくて難破して顛覆した別の捕鯨船の残骸に変っていたりする。」2021/08/11

gu

4
「これは気味悪い話ということで人に取り沙汰されるのであるがそれをただその通りに受け取ってならない理由はないように木山には思われた。それはその通りにきらびやかなことではないか」(『化けもの屋敷』)。『怪奇な話』と銘打っているがこれは何よりもまず何物にも寄りかからず生きられる人が見せる人生を楽しむことの実践に思えた。この本に収められている作品を読むとこの世ならぬものを前にして驚く、或いは恐れるといったような反応は感性の貧困の表れではないかという気持ちが湧く。上手く言いくるめられた気分になる文体が魅力的。2013/03/02

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