感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
124
直木賞】台湾から香港へ。著者と主人公は同じ道を進む。台湾からお茶を仕入れて売り飛ばす。最初はよい品のものを売り、次の2回は粗悪品を売りつけて逃げる。恐ろしい商売の方法を目の当たりに。競争社会の表舞台。2014/05/20
かふ
14
金儲けの神様と言われた台湾出身の実業家の小説。「香港」のほうが生活のために人を騙しても稼ぎを得るというような小説だがその前史「濁水渓」のほうが面白かった。順番が逆なんだよね。日本統治時代に台湾からの東大留学生。日本での差別の中で軍国主義の先生だけど主義は違えど人との結びつき。民族主義よりも自由主義を選ぶ主人公と親友である血の連帯を選ぶ台湾青年のそれぞれの生き方。2019/08/03
澄
9
「香港」は国民党が台湾に逃げていく時代に台湾から厦門経由で香港に亡命した主人公の香港での底辺の生活を。「濁水渓」は日本統治時代から終戦、国民党統治となった時代の日本、台湾での生活を。共に動乱の時代を逃げながら生きていく若者を描いた作品。つくづく今の日本は平和だな〜と実感。2014/12/18
父さん坊や
7
読んだのはずいぶん昔。30前後。花屋さんを物陰から様子を伺うシーン。若い男女が花を買っていく。そこから商売機会を伺おうとする自分。幸せと不遇。花と泥。*** その昔、深センは香港フラワーを作る場所に過ぎなかったそうですね。2018/12/24
tenchi
2
財テクの大家邱永漢氏の直木賞作と芥川賞候補作のカップリング本で、大いに興味をもって読みました。文章は比較的読み安い表現で、内容も期待以上の濃いものでした。中国共産党政権成立前の動乱期に台湾から香港へ脱出し、不安と貧困に喘ぎながら老李という山師まがいの男と際どい商売で食い繋ぎながら生きる若者を、あるいは国家とその現実に絶望し、人間らしく生きる術を模索する若い主人公の姿を、時代に翻弄され儚く終わる恋愛模様を添えながら描がいてます。格差社会が顕在化し資本主義の矛盾が噴出する現代にも通じる隠れた名作だと思います。2011/09/09