内容説明
ケインズ理論を補完し、動学的成長理論を基礎づけた名著。
目次
第1章 人間的要因(予備的考察;分業;資本主義;貨幣制度)
第2章 投資と産出量(リレーション;乗数;物価と利潤の動き;三つの動学的決定要因;景気循環の不可避性)
貯蓄に関する覚え書
著者等紹介
ハロッド[ハロッド][Harrod,Roy Forbes]
1900~78。イギリスの経済学者。ケインズの高弟の一人でその思想の継承者。不完全競争の理論において限界収入曲線を発見したこと、貿易乗数の定式化を試みたこと、ケインズの投資乗数とリレーションとを結合して景気の循環過程を説明する理論の基礎を築いたこと、経済成長率は貯蓄率を資本係数で割ったものに等しいという「ハロッド=ドーマーモデル」を考案したことがよく知られる。その他動態経済学や世界通貨問題などにも積極的に発言した
宮崎義一[ミヤザキヨシカズ]
1919(大正8)年生まれ。京都大学名誉教授。1998年逝去。理論経済学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Francis
1
タイトル通り景気循環論を述べている。利子率と資本の限界効率が景気にどのような影響を及ぼすかなどケインズの一般理論をさらに補う理論を展開している。一般理論を読んでこれを読めば(内容はいささか難しいとはいえ)ケインズ経済学についてさらに理解が深まると思う。2013/11/19
壱萬弐仟縁
1
景況感はあるとしても、ハロッドが論証したことは、科学的に、「景気変動を楽観・悲観の心理によって説明することは、説明すべきことを心理に置き換えているだけ」(19-20ページ)である。これは、現在の心理学と経済学の関係が密接になる中で、ハロッドの現代的意義を再検討する必要がありそうだ。1936年と現在では時代が全く違うので、日本人の景気に対する考え方と合わせて検証することが重要だろう。最大の関心は、TPP、消費増税、マイナンバー制度、原発再稼働後の日本社会である。TPPは途中退席できない。物価問題は大変。2012/11/14