内容説明
戦国末から江戸初期にかけて一大流行をみた隆達節は、高三隆達が独特の節付けをして歌い広めた一群の歌謡である。しかし、隆達の実像は後世の数多くの説話に包まれて必ずしも明らかではない。本書は新しい資料を博捜し、隆達の生涯とその幅広い交遊関係を探る。さらに恋歌を中心に隆達節の代表歌を紹介、そこに現れた清新な言語感覚と叙情を指摘し、乱世に生を享けた人々の無常観に裏打ちされた「流行歌」の世界を描き出す。
目次
1 隆達の伝記(家系;高三家をめぐる資料 ほか)
2 隆達の交遊圏と画像(歌本を贈られた人々;宗丸 ほか)
3 隆達の説話と歌謡(説話の代表例;小笠原監物 ほか)
4 隆達節の世界観(表現の特徴;「異なもの」 ほか)
5 隆達節の受容(阿国歌舞伎踊歌;『竹斎』 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徳浄さん
18
信長や秀吉、家康などが生きた時代。戦国武将の逸話などはよく本に出てくるが、巷で流行した小唄などにスポットがあてられ、恋の唄や人生の教訓、説話や世界観などを歌に込めて流行っていたとのこと。徳川秀忠が隆達節を2首ほど書いた軸が残されている。♪君は初音のほととぎす 松に夜な夜なかれ候よ、♪こはた山路に雪ふれて、月を伏見の草枕。君が代も元々は隆達節で結婚式などで祝い唄として歌われたとか。2017/03/27
とし
2
面白かった。中世と近世の端境期に大流行した隆達節について概観できる。戦国末期の流行歌を知ることで当時の人々の生き様が想像できるし、自由都市・堺に生きた町衆、文化人たちの横のつながりや実像を知るのにもいい。良著です。2014/02/15
綾月
0
【蔵書】2013/05/07