中公新書<br> 経済学の哲学―19世紀経済思想とラスキン

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中公新書
経済学の哲学―19世紀経済思想とラスキン

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  • サイズ 新書判/ページ数 257p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121021311
  • NDC分類 331.233
  • Cコード C1210

内容説明

経済と環境保護。分裂し、対立するかのような両者が折り合う思想は可能なのか。このきわめて現代的な問題は、すでに19世紀に提起されていた。産業革命が隆盛を誇るロンドンで、哲学者ラスキンが環境と弱者を犠牲にする経済学に怒りを感じ、新しい経済学の枠組みを構想したのだ。本書は、同時代の経済学者との格闘に光を当てながら、この先駆的な思想を辿る。ありうべき価値体系とは何か。よりよい社会への道を探る。

目次

序章 忘れられた思想家―ラスキンの時代と生涯
第1章 ポリティカル・エコノミーの歴史(古代ギリシアの経済思想;アダム・スミスから;ジョン・ステュアート・ミルまで;功利主義とロマン主義)
第2章 ラスキンの経済論(『この最後の者にも』;ミル批判;リカード批判;古代ギリシア的発想の復活)
第3章 「きれいな空気と水と大地」の方へ(風景の真理と倫理;文化と気候変動;風景と時間―ラスキンとプルースト;深いエコロジーと名誉ある富)

著者等紹介

伊藤邦武[イトウクニタケ]
1949(昭和24)年、神奈川県に生まれる。京都大学大学院博士課程修了。85年『パースのプラグマティズム』により文学博士。91年同大学文学部助教授、95年同大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りょうみや

16
ラスキンという19世紀の多方面で活躍した思想家のその経済論と芸術論に焦点と当てた内容。経済学の本質は産業革命の頃と現在でほぼ変わっておらず、ラスキンの経済論はそれを的確に批判するもので、古くて新しい思想とはまさにこのようなこと。ラスキンは今の経済学に抜け落ちている人間の「生」の本質や「きれいな空気と水と大地」という環境の概念が経済学にも必要とし、それは彼の芸術の思想とも重なってくる。ラスキンを導入するために、古代から近代までの経済思想の概要もまとめられているがそれも分かりやすく役に立つ。2018/12/02

佐島楓

16
よりよく生きることをテーマに、哲学的個人的見地からそれまでの経済学を批判したり、19世紀から既に環境問題に警鐘を鳴らすなど、ラスキンという人は先見性が素晴らしいと心惹かれた。なぜ日本であまり知られていないのだろう。読みたいと思っても原書に当たるしかないような気がして、それはそれでできなくはないが大変。イギリス史も勉強不足だと反省。2012/04/23

nnnともろー

6
19世紀イギリスの思想家ラスキン。スミスやミルなどの古典的経済学をラディカルに批判。人間と自然。美と経済。貨幣ではなく生を中心に置く労働の価値。こんな思想家がいたとは!まさに現代の諸問題を解決するヒントが満載。2021/03/25

Hepatica nobilis

3
美術批評家として知られるラスキンの社会思想面に焦点を合わせた珍しい書。アダム・スミス~リカード、ミルあたりの記述の方が面白く読めたが、生産よりも労働に価値を認めるあたり、ラスキンの異色の思想により大きな比重を与えている。文士の戯言などと言われかねないが、ガンジーからプルースト、現代のエコロジーに至るまで幅広い影響をラスキンは残したのだと言う。経済学の立場からは物足りないだろうが、著者の独自な切り口と展開にはそれなりの興味を惹かれた。2012/07/15

壱萬弐仟縁

3
ラスキンを中心に、現代の社会問題の軽減のためにはどう生かされるべきか、についてもヒントを与えてくれる。特に、環境保全については有意義だろう。2012/03/31

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