出版社内容情報
流れる川、不動の橋、揺れる心。パリの栄光と悲惨、喜びと悲しみを水面に浮かべ続けて生きたセーヌ川。その魅力を多面的に紹介。
内容説明
ブルゴーニュ地方の山中に源を発し、ル・アーヴル近くで英仏海峡に注ぐ。全長七七六キロに及ぶ堂々たる大河、セーヌ川。パリ市の紋章には、「たゆたえども沈まず」とあり、パリとこの川の浅からぬ縁を証言している。昔日のガイドブック、文学作品などの歴史的証言の数々を繙いて、この都市の錯綜したイメージを読み解いてゆこう。著者とともに、河岸を散策し、船に乗り、橋に佇めば、見知らぬパリの相貌に出会えるだろう。
目次
第1章 川を通過する
第2章 運河に生きる
第3章 川を楽しむ
第4章 川を描く
第5章 川に死す
第6章 橋を架ける
著者等紹介
小倉孝誠[オグラコウセイ]
1956年(昭和31年)青森県生まれ。慶應義塾大学教授。1978年、京都大学文学部卒業。1988年、東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京都立大学人文学部助教授等を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちぃ
11
ボールペンで気付いた箇所にマーカーを引きながら読書。一周目を読み込むために一週間近くかかったでしょうか。2023/07/26
ラウリスタ~
9
10年ぶりの再読。パリについて文学研究者が書く時、テーマが大きすぎてとっちらかったものになってしまうことがある。それを避けるために、本書は特に「セーヌ川」に注目している。文学研究でよく扱われるセーヌ川に関して、僕がパッと思いつくものは全部(本当に全部)当たり前のようにさらっと言及されていて、悔しいことこの上ない。超ハイレベルの素晴らしい新書だ。マネット・サロモンのアニエールとかよくぞ。1869年にモネ、ルノワールがラ・グルヌイエールを同時に描いたのは、その夏にナポレオン三世がこの島を訪問したからか?2021/04/28
杏
9
ヨーロッパの川といえば私の中ではライン川やドナウ川。セーヌ川ももちろん有名だけど、何となくおしゃれ~な印象だけだったかも知れない。これを読んで王政期から革命などを経てフランスの首都パリの中でのセーヌの位置づけがどのようなものか知れて興味深かった。民衆へのスポットも多く当たっていて良い。セーヌ川が登場するフランス文学読んでみたい。2017/07/28
ちぃ
5
面白かったです。都市を有機体として見るということでしょうか。2023/06/15
ラウリスタ~
3
大学の授業で参考文献として挙げられていた本。新書としてはかなり面白く書かれています。パリという都市はおそらく世界でもっとも奥深い都市の一つ。あまりにも大きすぎるため、セーヌ川という一つの視点に絞ってみることで逆に鳥瞰的視点を持つことができる。パリに行ったらセーヌ川をぶらぶらしよう。2010/10/10