感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
swshght
8
近代絵画は、19世紀初頭から第二次大戦までの約150年にわたって、大きなうねりを見せる。「近代」へと移行するなかで、表現形式の刷新は、既成概念の「継承」と「否定」の両面でなされた。それらの運動は、常に複数の集団や地域に点在したという点で、決して独立したものではなく、相互の交流や影響関係のなかで萌芽したものと見ていい。注目すべきは、何よりもイメージそのものを重視した近代絵画が、しばしば成文化された理論および宣言や批評といった言語的なものを基盤としていた点だ。ここに近代絵画のパラドックスを見ることができる。2013/02/01
ハチ
6
下巻で扱われている絵画、芸術家に疎く詳細を身につけるには不勉強だった。それでも絵画史の大局観を見渡すには読みやすく、その時代や街の美学、思想なども丁寧に記述されていて、がんばって勉強しようと思えた。2018/08/28
ジュンジュン
5
下巻は20世紀の写実主義から抽象主義への大転換を概観する。抽象画の氾濫は、まるで絵画自体(あるいは画家)のアイデンティティを求める魂の叫びのようだ。2018/10/06
中島直人
4
(図書館)読了2020/03/13
ろべると
2
後期印象派以降の絵画史をたどる下巻では、1975年の出版なので、モンドリアンの抽象画までだが、デュシャンの「泉」(=便器)は取り上げられている。それまでの絵画が目に見えた物を描いていたのに対して、物を見て感じた画家それぞれの内面を表現することが、いかに刺激に満ちた現代に至るアートの豊穣を生み出して来たことか。理屈はいろいろあるのだろうが、鑑賞者である我々は素直に感じたままを受け止めるのが良いのだろう。2021/09/29