内容説明
個であることを求める人々にとって〈家族〉とは…。古びた洋館榠〓荘。そこにはたっぷりの解放感と、互いに侵し合わない〈個独〉の時間がある。血の繋がりのない住人がゆるやかに結ばれる〈共感家族〉。ねばならないの枠の外側に生きる飛べない鳥たちの愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くろにゃんこ
40
著者のエッセイに出てきたこの小説を手にしました。血の繋がりではなく、カリン荘の住人という家族。年齢も職業も様々ながら適度な距離感をもって過ごすなんとも穏やかな日々。6歳とは思えないほど優しくてしっかり者の滋君、そして最年長でなかなかの正直者(笑)の平祐さんがいい感じ。時々出てくる料理も美味しそうで良い読書でした。2016/05/12
トントン
11
30年前に書かれたが、選択的夫婦別姓や多様性が話題になっている昨今、“早すぎた名作”と新聞で紹介された。場所は東京中野のアパート。都会の喧騒から隔離された不思議な空間に、草花・虫・手作りの料理などを介して6歳から66歳までの7人の住人が互いを愛おしみながら暮らす。これまでの人生に傷ついた人、これまでの家族から逃れてきた人…大家の夏彦を中心に、縁で偶然ここに集まってきた大家族。大好きでいつも見守っているけれど、それでいて個の生活に踏み入らない節度。この感性、残念ながら、わからない人にはずっとわからないかな。2021/07/18