感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shosei
1
アブサロム、アブサロム!を読了。何という熱量!安易な読みを拒絶する語りと訳文の取っつきにくさに何度も挫折しかかりながら、鉄の忍耐で乗り越えてゆくとその先にひろがる物語の広大さに立ちすくみます。カネと荘園と家と家族に異様なまでに執着し、自らの血族の王国を築こうとしたトマス・サトペン。複数の話者の独白や対話を積み重ねるポリフォニーの手法で、パズルのピースが1つ1つはまってゆくように、一族と王国の謎と破滅までの真相を浮かび上がらせてゆく完璧な構成です。南北戦争の敗北を生きた南部の歴史が縦糸に織り込まれています。2019/10/02