内容説明
弟の肺癌死を見据えた長篇私小説『冷い夏、熱い夏』。仮釈放された無期刑囚を主人公に罪と罰のテーマに挑む『仮釈放』。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しおつう
7
『冷たい夏・熱い夏』は著者と実弟自らの境遇を小説にしたとのことだが､闘病生活の悲惨さは感じられたものの､小説としては今一つだった。『仮釈放』は吉村氏お得意の刑務所物であるが､他作とは異なり出所後の犯罪者の境遇や心理が綴られている｡生真面目な人ほど怒ると恐いとよく言われているが､その意味が少しわかったような気がした｡また､東野圭吾の『手紙』のように犯罪そのものが与える周囲への影響や後遺症も痛々しいほどに伝わってくる。2015/01/10
