内容説明
天理教の教祖・中山みきの評伝「教祖様」。神と信仰について終生問い続けた芹沢文学の記念碑的作品。
感想・レビュー
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ybhkr
4
少年期青年期、天理教を憎んでいると言っても過言ではないほど否定していた著者が、晩年、天理教関係者と交流を持ち、教祖中山みきの結婚→信仰→お隠れになるまでの物語を書いたことは興味深い。かなりの年月をかけた長い長い小説には教祖や天理教に対する批判と共に深い愛情を感じる。また、天理教を信仰した父親のため苦しい人生を余儀なくされた著者の憤りや苛立ちをみきの子供たちの心理として何度も繰り返し描写されている。そして子供たちが心のどこかでみきに対し、妥協し、許し、尊敬している様もまた、著者の心の表れなのだろう。2015/03/22