内容説明
柔道に明け暮れた少年洪作の自由奔放な青春の一時期を描いた自伝的小説「北の海」など昭和四十三年一月から四十四年十一月までの長篇二篇を収録。
感想・レビュー
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mawaji
2
井上靖の自伝的小説三部作の第三作目「北の海」目的で図書館から借りました。今まで貸し出された形跡なし。浪人中の洪作のあまりにも鷹揚な構え方は親の目からすれば心許ない気もしますが我が身を振り返ってみれば周囲が心配するほど焦る気持ちもなかったなあと思い起こしながら読み進みました。湯ヶ島に帰省しておぬい婆さんと心の中で語り合うシーンは心打たれます。青春小説の金字塔としての著者のこの三部作、続編がもう読めないのがとても残念です。子供の頃、毎晩晩酌で酔っ払っては旧制高校の思い出話をしていた父親を思い浮かべながら読了。2015/05/05