内容説明
高校の国語教師の経験もあり、人気作家にしてアンソロジーの名手である著者が教えてくれるのは、ベストセラーに振り回されるのではなく、ゆったりとした気持ちで好みの作品を見つけ、自分だけの本を編む愉しみ。好評を博した特別講義を完全再録。
目次
第1回 アンソロジーは選者そのもの(話し手として聴き手として;人生の季語;高校三年の日記 ほか)
第2回 アンソロジーは別の本への呼び水(まぼろしの一句;言葉の力;時を越えて ほか)
第3回 アンソロジーは“今という時”の記念(詩歌との出会い;矢野峰人訳「シナラ」;ダウスンは「シナラ」をこう読んだ ほか)
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949(昭和24)年埼玉県生まれ。作家。早稲田大学ではミステリクラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、2009年『鷺と雪』で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
82
このような本は非常に珍しいと思いました。アンソロジーをつくる講座の講義録ですが、北村薫さんだからこそできるのでしょう。今までいくつか北村さんの選んだアンソロジーを読んできましたが、いつもほとんどハズレがなく、よくこんなものまで読んでいるなあと感じることたびたびです。またアンソロジーは選んだその人の個性が出るものといわれていますがその通りだと感じます。また岩波文庫の中村邦夫さんもまた素晴らしいアンソロジーを編んでくれています。2013/05/02
Koning
54
作家が講師になったカルチャースクールの授業の記録。いや、アンソロジーって言われてみれば編者の考えとか想いの溢れたものだよね。というのを改めて教えられた感じで、なんたら集のような長編を集めたシリーズにしても短編集にしてもすべからくそういう思惑があってのことなのだなーと。そして紹介されるあれこれを芋づるで読んでみたくなるという罠もあって、なんと危険な本だったんだよ、これ(汗。という楽しい本でしたよ。いや、こんな授業は楽しくて仕方ないだろねぇ。2016/05/25
22
新宿のカルチャーセンターで3回に渡って開かれた「アンソロジーの楽しみ」という特別講義を記録したのが本書。私に取ってアンソロジーって読むもので自分で編もうと考えたことは今まで一度もなかったので、価値観や考え方を大きく変えた1冊でした。それにしても北村さんの読書量と記憶力は素晴らしいですね。私自身短編よりは長編を好んで読む人なので、自分でアンソロジーを編もうとしてもこれを入れたい!という話がポンポン出てこない所が悔しいし哀しい。これからはもっと本を大切に読んでいきたい。それにしてもこの講義受けたかったなぁ。2010/04/29
ぐうぐう
17
北村薫の編むアンソロジーは、おもしろいだけじゃなく、発見があるのが嬉しい。そんな北村さんのアンソロジー術を知りたくて手に取った新書。アンソロジーを編むにはたくさんの小説と出会うだけじゃなく、本に対する愛情と、その作品をみんなと共有したい気持ちが大事なのだということがよくわかった。「アンソロジーというのは選者そのものです」。思わず、俺も編みたい!と叫びたくなる。2010/01/28
Saku
16
北村薫氏によるアンソロジーを編んでみましょうという講義集。 読書好きならば一度は想像したことがあるアンソロジーを編むこと。 どんなテーマでどんな順番でどんな話を入れるか、そこに編者の感性が発揮される。読書好きな読書メーターに集う皆さんが作るとしたら、どんなアンソロジーを作るんだろうか?それを思うととっても興味深い。2016/01/16