新潮・現代世界の文学<br> 金持になったウサギ〈1〉

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新潮・現代世界の文学
金持になったウサギ〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 290p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784105001124
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

溌刺と欲望のおもむくままに生きてきたウサギも、すでに中年。胴回りの太さが気になりだし、鏡を覗くこともついぞなくなった。だが、ウサギは今や金持なのだ。『帰ってきたウサギ』では、ウサギはライノタイプの印刷工として働いていたが、その業種が不振になった時期に、うまい具合に義父が死んでくれ、義父の自動車販売業を受け継ぎ、ちゃっかりそこの経営者におさまってしまう。自動車業界は、第一次石油危機に見舞われ、燃費の悪い大きなアメリカ車が敬遠され、日本の車が順調な売れ行きを示している。ウサギは金持なのだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

55
アメリカ経済が不調とは裏腹に、トヨタ車を売り、インフレによる金の高騰の中での金売買で裕福になっていくハリー夫妻の姿は、当時のアメリカ中流階級の一つの典型か。その中流階級の俗物的な金満生活をベースに、ハリーとネルソン父子の微妙な関係性が描かれている。金持ちになっても、ハリーは自分勝手で優柔不断で頑固。ただ、ハリーに金銭的な余裕があるだけに、前二作ほどの息苦しさはなく、読み辛くはない。2016/10/18

田中

17
1979年「石油危機」によりガソリン不足。民主党カーターは現職のフォード大統領を破ったけど、どうも彼の政策はパッとしない。世の中は不景気だ。そんな中「ウサギ」は義父の会社を引き継ぎ、トヨタの専属ディーラーになり儲けている。「燃費」の良さが売りのカローラ。体の小さい民族のコンパクトカーとは偏見だと思うけれど。「日本車」に席捲されるアメリカ産業界は曲がり角。ウサギは収入が増えゴルフを楽しみ余裕だ。が、義母との同居は居心地が悪い。嫁とはまぁ上手くやっている。大学生の息子は学校が嫌いのようだ。家庭劇は続きます。 2017/11/29

ヘラジカ

7
個人全訳版で読了。2016/10/15

amanon

3
金持ちになっても、相変わらず優柔不断でエゴイスト、そして不器用。しかもスケベ(笑)。でも、珍しく今回は奥さんのジャニス以外の女性とはセックスしてないな…それはともかくとして、本巻では息子ニルソンとの愛憎相半ばする関係性が大きな軸か。このニルソンというのが、親父似の何とも煮え切らない奴。父親に反発しながらも、父親に認められたいという本音がかなり露骨に現れている。それにしても驚かされるのが、七十年代後半のアメリカにおける日本車の浸透ぶり。それでいて日本という国の認識がかなりいい加減というのがおかしい…2013/12/03

Z

0
全体の感想は下巻に2014/03/03

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