内容説明
渦巻き蚊取りと蚊遣り豚はいつ、誰が考えついたのか?カ、ハエ、ノミ…、害虫に悩まされてきた庶民の苦闘の歴史をユーモラスに描く。
目次
殺虫剤なき時代
蚊遣り豚の謎
戦争と害虫
シラミ復活
ゴキブリ大戦争
蚊、ハエ撲滅運動
著者等紹介
町田忍[マチダシノブ]
昭和25年、東京生まれ。和光大学人文学部芸術学科卒(油絵専攻)。警視庁警察官を経て、庶民生活における風俗意匠を研究。特に銭湯研究においては第一人者である
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感想・レビュー
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Humbaba
4
人と虫との歴史は長い.日本では虫によって殺されるということは少ないものの,だからといってそれが無害であるというわけではない.それに対処するために様々なものが開発されてきた.2010/11/04
つちのこ
2
内容は蚊取り線香や蝿取り紙を始めとした殺虫剤全般、蚊帳の話、はては往年の大スター、水原弘や由美かおるのキンチョールのホーロー看板まで、とにかく幅広い。でもって、肝心の蚊遣り豚(線香を入れる陶器製の置物)については、そのルーツを常滑焼や江戸時代後期の庶民生活に触れこそすれ、結局、謎のままで何だか不完全燃焼。そもそもどうして豚の形になったのかもはっきりしない。面白いのは、蚊取り線香のルーツについて徹底的に調べている点だろうか。(2001.7記)2001/07/26
印度 洋一郎
2
燻煙や蚊帳の時代から続いていた、人間と虫(蚊、蝿、蚤、虱など、いわゆる”害虫”)との戦いが近代になって、殺虫剤という発明によって大転換。特に日本では、明治以来蚊取り線香という大発明が生まれた。本書は蚊取り線香を中心に殺虫剤の発達を概観した、とても面白い一冊。最初は細長い棒だった蚊取り線香、戦後になって発達した噴霧式、そして粘着式のゴキブリホイホイといった様々な殺虫剤のみならず、書名にある陶器の豚型容器や懐かしいホウロウの看板の謎も追跡。ちょっとしたことにも歴史があり、ドラマがあるのだった。2011/01/15
みかりんご。
0
【図書館】蚊遣り豚というか蚊取り線香についての蘊蓄本。かと思いきや、蚊だけではなく、蚤・虱・蝿・ゴキブリ等いわゆる害虫対策の変遷を辿ることができる一冊。ハイトリ紙のキャッチコピー「今日の一匹明日の千匹 病の種蒔く蠅の足」が印象深い…。◆そういえば幼少時、自宅台所天井からハイ取りリボンが吊る下がっていた記憶が。しかも髪の毛に付いて取れなくて泣いた記憶も。どうして天井から吊る下がっていたアレが髪の毛についたのかは謎。何をしようとして付いたのか…。2015/02/13
小林ミノリ
0
蚊遣り豚、この滑稽な造形物の向こうに見える、人と害虫との長く険しい闘いの歴史、雲散霧消する前にこうして記録されるささやかな歴史の大事さよ。