未見坂

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  • サイズ B6判/ページ数 245p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104471041
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

父が去ったあとの母と子の暮らし、プリンを焼きながら思い出すやさしかった義父のこと、あずけられた祖母の家で、あたりを薄く照らしていた小さな電球、子ども時代から三十数年、兄妹のように年を重ねてきた男女の、近いとも遠いとも計りかねる距離。惑いと諦観にゆれる人々の心を静謐な筆致で描き出す、名手による九の短篇。

著者等紹介

堀江敏幸[ホリエトシユキ]
1964年、岐阜県生まれ。早稲田大学教授。1999年『おぱらばん』で三島由紀夫賞を、2001年「熊の敷石」で芥川賞を、03年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞を、04年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞を、06年『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

87
『雪沼とその周辺』を 彷彿とさせる、ある町で暮らす 人々の日常を描いた9つの短篇集。 『苦い手』と『方向指示』が良かった。 ☆4.02021/02/13

よこたん

46
“老舗の酒屋が模様替えをしてリカーショップになり、よろず屋がコンビニに変わって何十年も闇に沈んでいた一角を陽がのぼるまで蛍光灯で真っ白に輝かせるようになったのは、そう遠いむかしのことではない。” まるでミルク色のうっすらとした靄の中を、静かに流れるような人々の営み。何気ない日常のようでいて、遙か深いところから、遠くの過去が、ぞろりとぶら下がっている。堀江さんの世界には、足を踏み入れたようでも、常にいつも傍観者でしかいられない不思議さがある。懐かしい匂いがするのに、どこか遠くて触れられないもどかしさがいい。2018/11/16

クリママ

43
9編の短編集。後半の作品には「雪沼」などの地名が出てくるので「雪沼とその周辺」の続編になるのだろうか。その時々の人たちのことが、穏やかにとりとめなく描かれるが、「雪沼とその周辺」と違うのは、何気ない言葉に不穏さがあり、大人の事情か隠されているように思われることだ。陰や暗が感じられるものがあり、それはこれまで読んできた堀江作品には珍しく思った。2023/04/15

erierif

17
子どもの頃、分からないなりに物事の本当のところを分かっていたのではないか。悲しいとか辛いとか嫌だとか楽しい嬉しい…そんな事の区別がはっきりしていない分、もっと正確に物事を分かっていたような気がした。この本を読んでなぜかそういう子どもの頃を思い出した。じっと静かに大人のする事をただ見ていた日々を。『戸の池一丁目』と『プリン』は大人の話だけど親たちが出てくる。同居もしているせいか大人でも子どものような部分があってとても良かった。土地や時代を越えて懐かしく感じる短篇集だった。2019/03/17

K1

13
どの家族にも事情があり、微かに秘密の匂いがするー日常と非日常は、この短編集のように緩やかにつながっているのかもしれない。2021/08/15

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