赤猫異聞

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  • サイズ B6判/ページ数 281p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104394043
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

火事と解き放ちは江戸の華。鎮火後三人の囚人が共に戻れば無罪、一人でも逃げれば死罪に。激変の時をいかに生きるかを問う時代小説。

鎮火後、三人共に戻れば無罪、一人でも逃げれば全員死罪。「江戸最後の大火」は天佑か、それとも――。火事と解き放ちは江戸の華! 江戸から明治へ、混乱の世を襲った大火事。火の手が迫る小伝馬町牢屋敷から、曰くつきの三人の囚人が解放された。千載一遇の自由を得て、命がけの意趣返しに向かった先で目にしたものは――。数奇な運命に翻弄されつつも、時代の濁流に抗う人間たち。激変の時をいかに生きるかを問う、傑作長編時代小説!

内容説明

火勢が迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞。鎮火までいっときの自由を得て、命がけの意趣返しに向かう三人。信じられない怪事が待ち受けているとは、知る由もなく。―幕末から明治へ。激変の時をいかに生きるかを問う、最新長編時代小説。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤枝梅安

110
浅田さんは幕末から明治を生きた人々を題材とした小説を多く手がけている。「壬生義士伝」「一刀斎夢録」「天切り松 闇がたり」など。いずれも登場人物の述懐を聞き書きする形式。「赤猫異聞」もこの流れをくむ作品。火事が起こり、「解き放ち」となった3人の重罪人・繁松、お仙、七之丞と、二人の牢役人、計5人の語りを通して、真義を貫いた一人の牢役人の姿が浮かび上がる。「盆暗」「上米を撥ねる」などの語源なども蘊蓄としてちりばめられている。激変する時代の中で人はどのように生き、死んでいったのか。浅田節を堪能できる1冊。2013/07/30

財布にジャック

99
また浅田さんに泣かされました。登場する人全てがグッとくる人ばかりで、覚悟が違うそれぞれの生き様を見せつけられ、胸を揺さぶられました。又、語り口が浅田さんの別の作品の「天切り松 闇がたり」風なので、天切り松が好きな方には是非ともお勧めしたいです。義理や人情や恩や友情や自己犠牲と、日本人の大好きな要素がみっしりと詰まった傑作です。やっぱり浅田さんはこうでなくっちゃと、大満足の1冊です。2013/01/08

R

91
期待通りの人情話だと読めました。本当にあった話なのかはわからんが、こういう話があって欲しいと強く思うような見事な人情が読めて大変満足しました。変に語ると、作品の本質から遠ざかってしまいそうな、読んだだけで満足してしまい、語ろうと思えないもので、読後感に浸っていたいと感じた読書になりました。2019/07/09

なゆ

74
明治元年暮れの江戸の大火事での囚人解き放ち。なかでも死罪や遠島になるはずの重罪人3人を解き放つにあたって、全員戻れば無罪放免に、一人でも逃げれば3人共死罪ということに。そんな〝赤猫〟と呼ばれた夜の話を後に5人が証言する形で、真実がじわじわと明らかになってゆくところが面白い。3人それぞれの行動、牢屋同心たちの思い、江戸の町の混乱。なかでも、牢屋敷事情や、武士とはいえ不浄役人といわれる牢屋同心の悲哀、そんな中にも務めに忠実たらんとする武士の矜持。義理や人情や誇り高く生きた人達に、心揺さぶられました。2013/11/05

あすなろ

73
読むタイミングを逃していた浅田氏特有の語り口調の作品。幕末~維新のなか、変らなかった牢屋の”中”と変りゆく”外”を描きながら、赤猫が舐める江戸の町に解き放ちが行われる。罪人3人の語りと牢屋番の役人の語りの構成。まずは江戸の火事とそのなかの牢屋解き放ち自体が興味深い。その他、語り部のそれぞれの人生、そして罪人となり解き放ちがあった前後、最後に現在と思いを語り尽くしていく様が面白かった。このような作風は、やはり浅田氏特有の凄さだと思う。そして、ラストがまた凍みる。個人的には、繁松の話が好き。2014/02/22

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