内容説明
大泥棒にして人殺し?だのに「フランス文学史上最高の抒情詩人」と今なお讃えられる破天荒な男フランソワ・ヴィヨン。謎につつまれていたその生涯を現代に甦らせたピカレスクロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rosetta
29
手にした動機は、佐藤賢一過去作品は読み切ってしまったので何か近い世界観の小説を読みたいと思ったから。作者には大変失礼であったが、内容には大満足した。時代感、キャラクター、文体、全てを堪能した。惜しむらくは自分に詩の素養が全くないので主人公の創る詩の良さをまるで理解できなかったこと💦中世最高の詩人と呼ばれロマの血を引く私生児と生まれたフランソワ・ヴィヨン。或いはその名を譲った無名の詩人なのか。どうしようもなく悪に惹かれ盗み、殺人も犯す屑なのに詩の才能だけは素晴らしいフランソワ。山之口さんの本もっと読みたい2024/01/17
とし
14
15世紀フランスの詩人、フランソワ・ヴィヨンを描いた作品。まさに破天荒の人生を歩んだフランソワ。『おれ』の一人称で語られる本作品は、様々なことが起こりハラハラさせられました。途中で散りばめられた詩は、内容もさることながらこの場面でこの詩がでてくるのに驚きでした。死刑を言い渡されたり、追放されたりとまさに放蕩詩人。なぜか暗さはなく、明るい文体で描かれていたのが印象的です。陽気な詩を作るフランソワの存在は周囲を笑わせたり、にぎやかな雰囲気をかもしだしています。どこか憎めないところがあるんだろうなと思いました。2016/08/01
星落秋風五丈原
3
パリ大学に学び高い学識を持つ、大泥棒にして殺人犯。なのにフランス文学史上最高の叙情詩人と今なお称えられている破天荒な男フランソワ・ヴィヨン。謎につつまれた人生を描く。著者は「オルガニスト」でファンタジーノベル賞受賞。2004/12/27
ホレイシア
3
頭の良し悪しと生活能力はおのずと違うという話。中の訳詩がなかなかですよ。2008/01/29
Orange
1
泥棒、殺人、放浪、悪所通い、そして詩人。いったいどういう人なんだろうと、たまに詩集を読み返しながら考えていた。で、この本を古本で入手して読んで、ああ、なるほどこういう感じか、と。15世紀フランスの世俗がどういうものかを知っておかないと、やっぱり詩というのは、まあわからないよなあ。想像してたのよりはマイルドなヴィヨンだったけれど、小説として面白いので満足。読むことのできないフランス古語の詩は韻を踏みまくっていらしく、この時代の詩人はラッパーみたいだなあ。2020/07/12